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2025年9月9日(火)

主張

首相の退陣表明

破綻した自民政治の転換こそ

 石破茂首相(自民党総裁)が退陣を表明しました。参院選の大敗を受けて党内に吹き荒れる「石破おろし」に対し、解散・総選挙の構えも見せて政権にしがみつこうとしましたが、党内圧力に抗しきれず、退陣に追い込まれました。しかし、こうした党内抗争そのものが自民党政治の末期ぶりを表しています。

■国民不在の抗争

 自民党は、衆参両院で与党過半数割れの審判が下されたにもかかわらず、選挙で示された民意に向き合わず、国民そっちのけで党内抗争を繰り広げました。参院選後1カ月半にわたり「政治空白」を生んだ責任は重大です。

 石破首相は7日の記者会見で、退陣表明のタイミングについて米国との関税交渉に「一つの区切りがついた」などとする一方、総裁選前倒しの意思確認で「党内に決定的な分断」を生むことを避けたかったと述べました。

 しかし、関税交渉では、米国から高い関税率と莫大(ばくだい)な投資を押しつけられたにすぎません。しかも、この間、物価高騰による国民の生活苦はいっそう厳しくなっています。石破首相が総裁の座にしがみつくことで、党内抗争を拡大させ、物価対策の議論も進まない「政治空白」を生み出したにもかかわらず、反省の色さえ見せない態度にはあきれるほかありません。

 そもそも、いま問われているのは、自民党全体の責任です。昨年の総選挙と今年7月の参院選挙で、裏金問題への無反省や物価高に対する経済無策、アメリカ言いなりの大軍拡など自民党の政治路線や政治姿勢に対し、国民の厳しい審判が下されました。

 ところが、石破首相も「石破おろし」に熱をあげる議員も、こうした民意に背を向けてきました。

 石破首相は会見で、「戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対応するため、防衛力の抜本的強化を着実に進めてきた」と大軍拡を誇示しました。消費税減税についても「(社会保障制度の)貴重な財源との認識に変わりはない」と述べ、大企業・富裕層優遇の税のゆがみに切り込むそぶりは見せません。「政治とカネ」をめぐっても、裏金事件の真相解明や企業・団体献金の禁止に、最後まで後ろ向きでした。

■臨時国会早急に

 自民党は、生き残りのために、総裁選での表紙のすげ替えをはじめ、他党との密室協議、連立の打診などを通して政権維持をはかろうとする危険があります。

 しかし、いま求められているのは、参院選で各党が公約に掲げた消費税減税などの物価高対策を話し合い、国民の願いを実現する政治へとかじを切ることです。古い自民党政治と決別するために裏金問題に決着をつけ、企業・団体献金の禁止に踏み出すことです。そのために一刻も早く臨時国会を開くべきです。

 野党のあり方も問われています。自民党政治を終わらせ、希望ある対案を示さなければ、国民の期待に応えられません。日本共産党は、自民党とたたかう姿勢を持つ野党や多くの国民と協力し、自民党政治の抜本的転換のため力を尽くします。


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