2025年9月8日(月)
主張
長期国債金利上昇
健全な成長による財政運営を
長期の日本国債の金利が上昇しています。「超長期国債」は30年間の償還期限を持つ30年物国債の利回りが3日に3・17%、40年物が3・43%となり、過去最高の水準で推移しています。
固定金利の住宅ローンの指標のひとつともなっている10年物の「長期国債」の利回りも同日に1・643%に上昇し、17年ぶりの高水準となっています。
■経済混乱招く危険
この金利上昇の大きな要因は赤字国債の増発リスクです。国の財政悪化への懸念によって、投資家がより高い利回りでなければ、国債を買わなくなるからです。
これまで、大量の国債を発行し続けた結果、2025年3月末で国債等残高は1191兆円にのぼる異常な状況となっています。急拡大する軍事支出などに充てるため、さらに多額の国債を増発すれば、国債金利の急上昇や高インフレなど経済混乱を招く危険性があります。
金利が急上昇している背景には買い手不足もあります。国債は、債券市場で売買され、買い手が少ないと国債そのものの価格は下落する一方、金利は上昇します。買い手が多いと価格は上昇する一方、金利は低下します。
これまでに約半分もの国債を保有してきた日本銀行は、アベノミクスの「異次元金融緩和」からの脱却を決め、24年8月から国債購入額の減額を進めています。
銀行や保険会社も減額の方向です。その穴を埋め、今後、比重を増すとみなされているのが海外勢です。海外勢の保有額はすでに、138兆円、11%を超えています。
■暮らしの応援こそ
自民党政権の財政政策のもと、大企業や富裕層には巨額の減税を続け、大軍拡で軍需産業に莫大(ばくだい)な利益をもたらす一方、そのツケを消費税増税と暮らしの予算の削減、国債発行に回してきました。
これによって、国民生活を破壊するだけでなく、国債ビジネスを行う国内外の投機資本に巨額の利益がもたらされてきました。
超長期の利回りが急上昇するなどにより、多額の国債に頼った財政は、困難に直面しています。金利が上昇すれば、国の利払いが膨らみ、社会保障などの予算をさらに圧迫します。
実際、26年度の概算要求では25年度比24%増の13兆435億円にも利払い費が膨らんでいます。
財政悪化の懸念による長期金利の上昇を是正するためにも暮らしを壊し格差を拡大する税・財政のあり方を抜本的に転換することが必要です。
「借金を減らす」などを口実に社会保障を削減するなどの緊縮政策を行えば、景気悪化の結果、財政もいっそう深刻化します。
財源はあります。過去最高益を続け、539兆円もの内部留保をため込む大企業や、富裕層に応分の負担を求めれば、赤字国債に頼らずに、消費税減税や国民の暮らしを応援する積極的な財政支出による健全な経済成長をはかれます。
そのことをつうじて借金問題も解決する財政運営をめざすことが必要です。








