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2025年9月7日(日)

変革への展望と希望を学び、連帯してこの世界を変えよう

――二つの『Q&A』(「赤本」、「青本」)を学習し、広げるとりくみに寄せて

山口富男

 第6回中央委員会総会(9月3、4日)で、二つの『Q&A』--志位和夫議長著『Q&A いま「資本論」がおもしろい』(赤本)、同『Q&A 共産主義と自由』(青本)を学び、国民のなかに広げる大運動が提起されました。二つの『Q&A』について、山口富男・党社会科学研究所所長に寄稿してもらいました。


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(写真)山口富男・党社会科学研究所所長

 二つの『Q&A』(「赤本」、「青本」)を学習し、広げるためにも、二つの著作の密接な関係と、これが「党大会決定の具体化・実践としてとりくんできた」(6中総決議)成果であることをつかむことが大切です。

「青本」――未来社会、人間の自由で全面的な発展についての深い解明

 第29回党大会決議は、第4章「世界資本主義の矛盾と科学的社会主義」の第15節で、次のような解明を行いました。

 「わが党綱領が明らかにしている社会主義・共産主義の社会は、資本主義社会がかかえる諸矛盾を乗り越え、『人間の自由』があらゆる意味で豊かに保障され開花する社会である。『人間の自由』こそ社会主義・共産主義の目的であり、最大の特質である」(大会決定パンフレット46ページ)。つづいて、大会決議は、その特質の内容を、「利潤第一主義」からの自由、人間の自由で全面的な発展、発達した資本主義国の巨大な可能性という三つの角度から整理して展開しました。

 昨年、刊行された「青本」は、この三つの角度、なかでもマルクスの未来社会の最大の輝きである「人間の自由で全面的な発展」について深い解明を行ったものです。「青本」は、『資本論』に実ってゆく経済学研究の中で、マルクスが労働時間短縮の意義をつかみ、資本主義的搾取をなくすことを通じてすべての人間が十分な「自由な時間」を得ること、このことがすべての人びとの「自由で全面的な発展」を保障するカギになると示したことを、マルクス自身の探求過程とともに詳しく明らかにしました。「青本」の書名が「共産主義と自由--『資本論』を導きに」と題されているのもそのためです。

 搾取によって資本家に奪われているのは「モノ」や「カネ」だけでなく、“自由な時間だ”、という「青本」での提起には、たいへん大きな反響がありました。

「赤本」――『資本論』には変革への展望と希望があふれている

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(写真)『Q&A 共産主義と自由』(左)と『Q&A いま「資本論」がおもしろい』

 同時に「青本」では、搾取の仕組みについての立ち入った説明は、まだ行われていません。これは、問題を論じるさいに求められる、必要な理論的限定でした。

 というのも、マルクスによる資本主義的搾取の秘密の解明は、私たちが、この社会のどこをどのように変革し、未来社会への道を開いてゆくかを示したもので、その内容の全体を論じるためには、『資本論』第一部での解明のおおまかな流れを押さえ、説明する必要があるからです。

 今年、刊行された「赤本」は、「いま『資本論』がおもしろい--マルクスとともに現代と未来を科学する」と題されているように、この大きな課題の解明に正面から取り組んだものです。

 「赤本」は、資本主義的搾取の秘密を解明するマルクスの謎解きぶり、搾取拡大の方法などをわかりやすく紹介し、『資本論』が、資本主義の果たす歴史的役割とともに、新しい社会に向かう変革の諸条件をつかみだしたこと、さらにマルクスが、未来社会を成熟した形で豊かに語り、連帯してこの世界を変えようという立場を貫いていることを、現代との接点を豊かに示しながら、詳しく明らかにしました。

 まとめていえば、「赤本」は、『資本論』には搾取にたいするきびしい告発とともに、“変革への展望と希望”があふれており、私たちの理論と活動の面白さの源もここにあると、語っています。

大会決定の具体化・実践が生み出した成果

 このように、私たちは、志位議長による「赤本」、「青本」という、深い理論的な関連をもった二つの著作を生み出すことで、第29回党大会が示した「社会主義・共産主義の社会は、資本主義社会がかかえる諸矛盾を乗り越え、『人間の自由』があらゆる意味で豊かに保障され開花する社会である」ということの解明を深めてきました。

 これが、6中総決議の指摘する「大会決定の具体化・実践」としての二つの著作の関係であり、中身だと思います。

 私は、党大会後、志位議長による「学生オンラインゼミ」での講義準備、二つの著作を生み出す過程に協力し、志位議長の研究の積み重ねをつぶさに見てきました。その裏付けをもって、二つの著作は、大会決定の具体化・実践が生み出した成果であり、未来社会と社会変革の事業の魅力を豊かに語る、新しい条件を生みだしたと述べたいと思います。

科学的社会主義そのものを学ぶ歴史的意義

 二つの『Q&A』を学習し、広げるうえで、もう一点、つかんでおきたいことがあります。それは、科学的社会主義そのものを学ぶ歴史的意義についてです。

 志位議長の二つの著作を読み、学ぶことは、『資本論』、すなわち私たちが「理論的な基礎」としている科学的社会主義の理論そのものを学び、その内容を広める道になります。田村智子委員長による6中総結語が示したように、科学的社会主義の学習を集中的な取り組みの課題としたのは、党としてはじめてのことです。

 これは、こんにちの歴史的岐路と呼ばれる重大な情勢のもとで、わが党の果たすべき役割をなしとげるために、私たち自身が自らの「理論的な基礎」をともに学び、学んだ内容を語り、社会変革の事業をすすめてゆこうという壮大な提起です。

 さらに、この提起は、旧ソ連などの誤った似非(えせ)理論体系とたたかい、不破哲三元議長の一連の研究をはじめとする科学的社会主義の理論の創造的探究をはかってきた党としての長年のとりくみ、そして、志位議長の二つの著作や党内外の貴重な研究の達成があればこそ、可能になったものです。私たち自身が、党として科学的社会主義を学ぶ条件をつくってきたといえるでしょう。

 こうした点にも、思いをはせながら、二つの『Q&A』、科学的社会主義を学び、ともに「質量ともに強大な党をつくる集中期間」の成功に力をつくしてゆきましょう。

 (党社会科学研究所所長)


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