日本共産党の第6回中央委員会総会の2日目(4日)に田村智子委員長が行った討論の結語は次の通りです。
2日間、たいへんお疲れさまでした。この第6回中央委員会総会は、日本の進路とわが党の命運のかかった重要な総会となりました。決議案は率直な討論によって深められました。会議は大きな成果をおさめたと確信します。討論で出された要望については積極的にこたえていきたいと思います。
2日間で60人が発言をしました。志位和夫議長が、中間発言を行い、“新しい国民的・民主的共同”の呼びかけを提唱した国内外の背景について述べ、「質量ともに強大な党をつくる集中期間」を成功させるカギはどこにあるかについて、問題提起を行いました。
討論全体の特徴――決議案全体が強く歓迎されている
![]() (写真)結語を述べる田村智子委員長=4日、党本部 |
全国からの感想でも、討論でも、決議案全体が強く歓迎されています。全国から感想がたくさん寄せられています。
「快哉、快哉!全体的に納得です。議席が減っても新しい情勢下でがんばるしかないと思っていましたが、積極的、楽天的に挑戦する背骨が一本通った感じです。まさに世界史的に新しい時代の中にあると思われ、新しい挑戦が求められていると思います。なぜ後退したのかの部分は、特にスッキリしました」(山口県)
「一つ一つの内容が背中を押してくれる、胸に落ちた、素晴らしい内容でした。『Q&A』の学習、『赤本』と『青本』を胸に、未来社会に確信を持って進めたい」(東京都)
参議院選挙でのわが党の後退は、本当に悔しく重大な結果でした。ここを直視しつつ、決議案が示した反省点と前向きの教訓を、全体のものとすることができたと確信します。そして、自民党政治の大もとからの改革と、極右・排外主義とのたたかい、この「二重の役割」を発揮するのは、わが党をおいて他にない。今がんばらずしてどうするか――この決意を固めあうことができたのではないでしょうか。
“新しい国民的・民主的共同”をどう広げるか
“反動ブロック”の危険に正面から対決する“新しい国民的・民主的共同”の提唱に、討論でも、全国からの感想でも、「大歓迎」という受け止めが寄せられました。志位議長の中間発言で、欧州の極右・排外主義とのたたかいが詳しく報告され、“危機はチャンスにしうる”ということが鮮明になりました。この共同をどうやって広げていくのか、討論で深められました。
愛知県委員長は、「革新懇とも連携して、市民、諸団体、立憲民主党などの議員にも呼びかけて、市民に見える共同の活動を、地域・職場・学園でつくり出していきたい」と発言しました。
大分県委員長は、「大規模な日米合同軍事演習、ミサイル保管庫建設など大軍拡の具体化に、市民とともに共産党、立民、社民との共同のたたかいを進めている。民主的共同の発展へ、こうしたたたかいを進めていくことは重要だ」と発言しました。
新潟県委員長は、「地域医療の危機打開で、市内の中心的病院に党市議団が懇談を申し入れると、予定時間を大幅に超え、実態をわかってほしいという思いをひしひしと感じた」と、発言しました。
こういうたたかいを大いに進めながら、新しい共同を広げていきたいと思います。
この提唱と「市民と野党の共闘」との関係について質問が寄せられました。
2015年に始まった「市民と野党の共闘」は、安保法制の廃止と立憲主義の回復を「一丁目一番地」とする運動であり、曲折を経てさまざまな成果をあげてきました。今、長射程ミサイル配備などの大軍拡が、安保法制の具体化として進められているもとで、「市民と野党の共闘」はいよいよ大切な意義を持ちます。
“新しい国民的・民主的共同”は、より幅広い共同をめざすものですが、これまで「市民と野党の共闘」に努力されてきた方々とも力をあわせて、大きく広げていくことが大切だと考えます。
中央としても、党としての街頭宣伝などで国民のみなさんに共同を大きく呼びかけるとともに、「市民と野党の共闘」の前進に努力してきた政党や議員、市民、団体などと幅広く懇談を行って、この新しい共同を広げていきたいと考えています。この新しい共同の成否は、何よりも草の根からの共同を広げ、世論と運動を広げていくことにかかっています。一緒に草の根からの新しい共同を大いに広げていこうではありませんか。
「集中期間」をいかにして成功させるか――三つの角度から議論が深められた
次に「集中期間」をいかにして成功させるかです。「『集中期間』の意義はわかる、しかしできるのか」と自問しながら、お互いに率直な意見を述べる議論が行われました。志位議長が問題提起した三つの角度で討論が深められ、討論を通じてたくさんの成功へのヒントがあったと思います。
情勢の大きな変化が生まれている
一つは、客観的な条件、可能性として、情勢の大きな変化が生まれていることです。
2日間の討論の中で、若い世代が自分の意思で自ら党に接近してくる、相手の方から入党したい、入党を考えている、こういう経験が次々と発言されました。
「シールアンケートでの対話で、入党したいといってくる経験が1人や2人ではない。伸びしろは無限大だ」(東京)、「市議会議員が朝の宣伝をしていると、入党したいと声をかけられてびっくりした」(千葉)、「選挙の街頭演説に高校生が自ら参加して、党員に話しかけてきて、民青に加盟。こういう経験が連日起きていた」(愛知)――こうした経験がこれほどたくさん報告された討論は、この間になかったことです。
その根底には、自民党政治の末期的状況のもとで、「この政治を変えたい」という思いが広がっている。極右・排外主義の政党の伸長に危機感を持ち、「自分も何かしなければ」という思いを若い世代をはじめ多くの人々が強めている。「二重の役割」を担う日本共産党に期待を寄せている。こういう情勢の大きな変化があります。
この時に、日本共産党が堂々と国民の前に姿を現す、「しんぶん赤旗」を掲げて購読を呼びかけ、思い切って入党の呼びかけを広げなくてどうするかと、私も奮いたつ思いで討論を聞きました。足を踏み出して、この実感をみんなのものにして、その確信を支部と党員みんなのものにして、「集中期間」の成功につなげていこうではありませんか。
「双方向・循環型」を言葉だけにせず本気で貫く
二つに、主体的な条件・可能性はどうか。「双方向・循環型」を言葉だけにしない、本気で貫くことがとても大切だと思います。そのために、党機関がどういう姿勢でとりくむかが討論で深められました。
北海道・室蘭地区の経験は、中間発言で志位議長から紹介されましたが、やはり率直に意見を出し合って、心通わせる討論ができた。ここが、「集中期間」を成功させるうえで大きなカギではないかと思います。
福井県委員長は、「目標そのものについて本音を出し合い、納得いくまで議論する」ことと、「大志と気概を持つ、自らがわくわく感を持って活動する」こと。これが大切ではないかと発言されました。
大阪の府議会議員の石川多枝同志は、「支部がワクワクしながら集中期間にとりくめるかどうか、機関の指導にかかっている。機関の指導のあり方を見直すことなしに、成功はあり得ないと思っている」と述べました。「『石川多枝が言うてるんやったら、「赤本」「青本」を読んでみたいな』『一緒にあの人と入党の呼びかけをしたいな』と思ってもらえるように、一つ一つの支部、一人一人の党員への指導の在り方を探求することで、『共産党って楽しい』『もっともっと広げたい』とみんなでワクワクしながらとりくんでいきたい」という発言でした。
この発言で強調されたように、党機関の指導のあり方の改善・改革が必要です。それを、中央が自ら実行していくことを決意として表明します。
決議案を準備するときにも、まさに私たちも常任幹部会、幹部会でそういう議論を重ねました。「集中期間」の目標をやりとげるために、どうしたら全党の運動にできるのか。「ねばならない」という方針提起ではなく、「やってみよう」「おもしろそうだ」と思えるように、「現に生まれている発展の芽」に光を当てて、決議案を仕上げました。
岩手県委員長は、「党員拡大では、四つの『発展の芽』をやってみることだ。中途半端ではなくやってみる。その中で、次の展望が見えてくるのではないか」と発言しました。「一緒にやってみよう」と、心から呼びかけたいと思います。
都道府県・地区委員会のみなさんとともに、党中央も心の通う具体化・実践に徹したいと思います。そして、目標に責任を持ちながら、支部がワクワクと実践に足を踏み出せるよう、「双方向・循環型」の活動に徹していきたい。ともに挑戦しようではありませんか。
綱領・科学的社会主義が、若い世代・広い国民を結集する力に
三つに、綱領路線・科学的社会主義そのものが、若い世代・広い国民を結集する力を発揮している。このことがたくさんの経験で示されました。
「選挙後の大学前でのシールアンケートで、参政党に投票したという学生が、消費税減税での財源提案など、党の政策を聞いて、『知らなかった。選挙前に知りたかった』と民青に加盟した」(愛知)など、「二つのゆがみ」を正す綱領路線が、政治への怒りや不安にこたえる力を持っていることが、討論の中でも深められました。
山梨県委員長は、昨年8月に入党した学生が、若い人たちに共産党の魅力を一言で語るにはどうしたらいいかという議論のなかで、「私にとっては共産主義」「『赤本』(『いま「資本論」がおもしろい』)が100万部売れたら、日本社会は変わるのではないか」と発言したことを紹介しました。この学生は、自分が党に入っていることを家族には言っていないけれど、自分の父親にも話をすると、「おまえの言うような共産主義だったら賛成だ」と言われたとのことでした。
「集中期間」の目標に学習をすえたことが強く歓迎されています。過去の「月間」などを振り返ってみましたら、綱領や大会決定を学ぶ学習をすえることはやってきた。しかし、科学的社会主義の学習を集中的なとりくみの課題としたのは、今回が初めてのことです。「赤本」の学習会がすでに多くの県・地区・支部で始まっており、始まったところでは、どこでも「面白い」「力になる」という感想が広がっています。
学習は、「押し付け」では苦痛でしかないし、身につきません。東京の同志から、北多摩東部地区で、オンラインゼミを視聴しながら「赤本」の学習会に連続的にとりくんでいる経験が紹介されました。「赤本」の学習会を地区委員長が提案したが、「どうして『資本論』の学習なのか」という意見が出されて、率直な議論をしたことがきっかけだった。「共産党という党名で支持を得ようというのだから、共産党が何をめざしているかを学ぶことは大切ではないか」「科学的社会主義の学説を理解してこそ本当の元気が出る」「経済の根本の仕組みを学んでこそ、今の問題も深く話せる」――こういう議論をつうじて、「みんなの心に火をともす議論」となり、学習会にとりくんだ。そして、学習してみると「面白い」。この声が次々と寄せられているということです。
私たちは第28回党大会で、綱領の一部改定を行い、第29回党大会決定で、未来社会論を豊かに発展させました。このことが、科学的社会主義をさらに豊かにし、その力によって国民を社会変革の側に結集しうる新しい条件を生み出しています。すべての党員が「赤本」「青本」(『共産主義と自由』)を学ぶことは、国民を社会進歩の事業に結集する力を大きく引き出すことになるでしょう。国民とともに読む、学ぶことに挑戦すれば、さらにその力は2倍にも3倍にもなるのではないでしょうか。
党自身の質的強化にとどまらず、日本社会を変革する壮大な事業として、ワクワクしながら、楽しさを伝えながらとりくむことを、あらためて呼びかけるものです。
(※ここで、田村委員長は決議案の修正部分について説明しました)
9月、「集中期間」のスタートダッシュを
最後に、9月、「集中期間」のスタートダッシュを呼びかけます。カギは、6中総決定の徹底にあります。今度こそ、すべての党員に6中総決議を届け、そしてすべての支部が討議を行い、実践に踏み出そうではありませんか。そのために直ちに機関会議を開き、言いたいことを出し合い、率直な議論を行いましょう。指導的同志は9月15日までに読了し、大いにこの内容を語っていこうではありませんか。
党員拡大では、止まってしまっている運動をいかにおこしていくかが大切です。まずは、若い世代と労働者への二つの「入党のよびかけ」、これをどんどん渡すことで運動にしていきましょう。
討論でも発言がありましたが、この間の青年・学生党員の拡大では、「入党のよびかけ」が決定的な役割を果たしています。二つの「入党のよびかけ」は党の綱領と理念、またどう生きるのかについて、大きな視野に立って書かれています。いま読み返してみても、少しも古くなっておらず、若い世代はもちろん、どの世代にとっても新鮮な生命力がみなぎるものです。「入党のよびかけ」を選挙で結びついた方々に大規模に渡し、働きかけを行うことからはじめましょう。中央役員がその先頭に立つことを呼びかけたいと思います。
読者拡大では、日曜版電子版と電子版読者システムへの大歓迎の声が起きています。「日曜版の発刊に匹敵する歴史的な改革だ」という声も寄せられました。9月のとりくみが成否をわけます。この電子版を一気に拡大していく。そして日刊紙・日曜版とも、「紙」の読者の前進と一体にして、必ずこの大事業を成功させようではありませんか。
学習では「赤本」を読み始めることが大切です。まず「はじめに」を読めば、『資本論』が、“たたかいの書”なんだと、社会変革に立ち上がる根源的な力を引き出すんだとつかめると思います。これは私の実感でもあります。
都道府県、地区、支部で学習会を開きましょう。「オンラインゼミ」の動画を見ながら学習を始めることは、すぐにもできることです。党機関、支部はもちろん、学生や高校生を対象としたとりくみにもぜひ挑戦しましょう。
6中総の討論から、私も学び、“新しい国民的・民主的共同”を広げるうえでも、「集中期間」を成功させるうえでも、先頭にたって奮闘する決意を固めました。この6中総を転機として、大きな前進をともにつくり上げていこうではありませんか。このことを呼びかけて、討論の結語といたします。









