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2025年9月5日(金)

主張

長射程ミサイル配備

米軍の指揮で他国攻撃の恐れ

 防衛省が、他国領土を直接たたく敵基地攻撃能力の保有に向け、国産長射程ミサイルの配備計画を公表しました。

 敵基地攻撃能力は、政府が2022年末に決定した安保3文書の中で「反撃能力」として初めて保有を打ち出しました。政府は今も「憲法の下、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にならない」という「基本方針」は不変だとしています。

 しかし、長射程ミサイルは、その性能からも、想定される運用からも「専守防衛」と相いれません。日本が「他国に脅威を与える軍事大国」になることは明らかです。

■中国大陸が圏内に

 防衛省が開発を進めている国産の長射程ミサイルは、(1)射程1000キロの「12式地対艦誘導弾能力向上型」(2)高速で変則軌道を描いて飛び、将来的には射程を2000~3000キロに伸ばす「島しょ防衛用高速滑空弾」(3)音速の5倍以上で飛行する射程3000キロの「極超音速誘導弾」―などです(射程は推定)。

 中国大陸や朝鮮半島が射程圏内に入ります。配備が進めば、東アジアの軍事緊張をますます高めることになるのは避けられません。

 防衛省が8月29日に発表した配備計画では、(1)12式地対艦誘導弾能力向上型については▽地上から発射する「地発型」を25年度から陸上自衛隊健軍駐屯地(熊本県)のミサイル連隊に、27年度からは陸自富士駐屯地(静岡県)の特科教導隊(教育・研究部隊)に配備▽艦船から発射する「艦発型」は海上自衛隊横須賀基地(神奈川県)を母港にする護衛艦「てるづき」で、航空機から発射する「空発型」は航空自衛隊百里基地(茨城県)に配備予定のF2戦闘機能力向上型で、いずれも27年度から運用します。

 (2)島しょ防衛用高速滑空弾は25年度に富士駐屯地の特科教導隊に配備し、26年度には陸自の上富良野駐屯地(北海道)とえびの駐屯地(宮崎県)に運用部隊を新たに編成するとしています。

 (3)極超音速誘導弾については、別の防衛省資料によると、場所は明らかにしていないものの29年度に配備する予定です。

■報復避けられない

 外国製の長射程ミサイルも次々配備されようとしています。空自のF35A戦闘機に搭載するJSM(射程500キロ)と、海自佐世保基地(長崎県)を母港にするイージス艦「ちょうかい」などで運用する巡航ミサイル・トマホーク(同1600キロ)は25年度から、空自のF15戦闘機能力向上型に装備するJASSM(同900キロ)は27年度から納入が始まります。

 政府は、安保法制に基づき集団的自衛権を発動し、自衛隊が敵基地攻撃を行うことを否定していません。しかし、自衛隊に他国領内にある攻撃目標の情報を独自に収集する能力はなく、米軍頼みです。米軍が海外で始めた戦争に自衛隊が参戦し、米軍の指揮で他国にミサイルを撃ち込むことになりかねません。その結果は、日本に対する他国からの報復攻撃です。

 長射程ミサイル配備反対の運動と世論を大きくしていかなければなりません。


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