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2025年9月3日(水)

きょうの潮流

 トマトは収穫減、レタスは茎が伸び葉が丸まらない、ブドウは梅干し状態に…。猛暑・日照りでこんなニュースが連日のように▼国連広報センターは、気候変動と異常気象の増加は「世界的な飢饉(ききん)と栄養不足の増加の理由の一つ」と指摘します。気温上昇は嵐や干ばつの増加を招き、漁業、農業、牧畜の生産力が低下に▼雨期に干ばつをくり返したことが文明崩壊の一因だった―。中米・ユカタン半島を中心に発達したマヤ文明の崩壊について、米科学雑誌の研究結果を本紙が報じていました。9世紀後半からの150年間に、雨期に3年続く干ばつが8回、13年続く干ばつが1回あった、と▼気候変動による深刻な事態は日本の歴史にも。古代史に登場する女王卑弥呼(ひみこ)の邪馬台国(やまたいこく)は紀元2世紀に起きた「倭国大乱(わこくたいらん)」と呼ばれる争乱の末に誕生しました。その原因は気候変動による食糧危機だった、と名古屋大学教授の中塚武さんら研究グループが▼この時期に干ばつや洪水など異常気象が頻発し稲作が打撃をうけ、食糧不足が原因で争いに。樹木の主成分を分析する最新の年代測定法に基づく古気候データと史資料などを対比して、新しい発見が次々と生み出されています▼対策をとらなければ東京の最高気温は43・3度に、という環境省の「2100年 未来の天気予報」はいよいよ現実味を帯びています。生存の危機を招かないために、気候危機打開への取り組みは待ったなし。中塚教授はいいます。「気候変動は、確かに歴史を左右していた」


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