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2025年9月1日(月)

主張

災害列島の備え

日常取り戻せる支援の強化を

 きょうは防災の日です。

 災害対策の要は何より人命を守り、すべての被災者の人権保障を基軸に一日も早く元の生活を取り戻すことです。住まいと生業(なりわい)の再建こそが、その基盤になるというのが最大の教訓です。

 近年、地震だけでなく温暖化による異常気象などで大型台風、大雨、洪水、山火事、大雪など自然災害が頻発し、“災害列島”日本での日常的な防災・減災対策の強化が急務になっています。

■福祉の提供を急げ

 8月6日から12日にかけては北日本から西日本の広い範囲で線状降水帯が発生し各地で大雨被害に見舞われました。石川県奥能登をはじめ、今も避難所や仮設住宅で不自由な生活を強いられる住民が多数います。

 日本共産党国会議員団はいち早く豪雨災害対策本部を立ち上げ、地方議員らと連携して被災者から実態と要望を聞き取り、行政、省庁に改善を求める活動を強めています。

 「被災者に寄り添う」という石破茂政権には、さまざまな災害のすべての被災者に寄り添う具体的な手だてが求められています。

 先の通常国会で災害対策基本法と災害援助法の改正法が成立しました。避難所の環境改善と併せ、壊れた自宅や車中など避難所以外で生活する被災者の支援を明確にしました。また、国が費用負担する救助の種類に「福祉サービスの提供」を加えました。災害関連死に至る危険が高い障害者や高齢者に必要な支援を速やかに届けるためです。

 能登の被災地ではすでに日本障害フォーラムが七尾市に支援センターを設置し、各地の社会福祉法人などから派遣された人が手弁当で、被災した障害者の病院への移動支援や付き添いなどを行っています。珠洲市の珠洲ささえ愛センターは民間団体と社会福祉協議会・行政が連携し在宅の被災者全員を訪問、一人ひとりが必要とする支援につながる活動をしています。こうした活動を国は財政支援すべきです。

 一方、介護や通院のため金沢市などに広域避難した人が地元に戻ろうとしても職員確保の困難から介護施設が減っています。法改正にとどまらず、被災地の実情を踏まえた取り組みが求められます。

■耐震性の総点検を

 震災対策では、建築物の耐震性の確保が重要な教訓です。今後30年以内に発生するといわれる南海トラフ巨大地震では、高層の建物を大きく揺らす「長周期地震動」による被害が懸念されています。国土交通省は11都府県を「対策地域」に指定し、2017年4月以降に申請された60メートル超の超高層建築には長周期地震動に耐えられる設計を義務づけました。

 既存の超高層建築は設備の破損などが発生する恐れがあるとしています。耐震基準を満たさない雑居ビルも各地にあります。防災・減災の視点から、住宅の耐震化、地盤の液状化や火災への対策など改めて総点検する必要があります。政府は防災庁の創設を来年度中に目指すとしますが、現に被災している人たちの要望に応える防災庁でなければなりません。


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