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2025年8月31日(日)

主張

軍事費概算要求

国民に莫大な負担背負わすな

 防衛省が29日に決定した2026年度の軍事費(防衛関係費)の概算要求は8兆8454億円と過去最大を更新しました。米軍再編経費など年末の予算編成時まで金額が確定しない「事項要求」があり、最終的にはさらに膨れ上がります。

 政府は22年末、安保3文書の一つ、「防衛力整備計画」で、23年度から5年間で43兆円もの軍事費を投じることを決めました。これに基づき軍事費は22年度の5・4兆円から23年度は6・8兆円に激増しました。それ以後も24年度は7・9兆円、25年度は8・7兆円と拡大し続けています(いずれも当初予算。米軍再編経費などを含む)。3年間で3・3兆円増という突出した伸びです。

■9兆円超える恐れ

 今回の概算要求に米軍再編経費などを加えれば、年末の予算編成で軍事費は9兆円を超える恐れがあります。あまりにも異常な大軍拡です。

 一方、国民の暮らしに直接かかわる予算は厳しく抑えられています。例えば、文部科学関係予算は22年度に軍事費とほぼ同じ5・3兆円でしたが、25年度も5・5兆円にとどまり、今では1・5倍以上の開きが生まれています。

 安保3文書は、「防衛力整備計画」の最終年度である27年度に、軍事費と関連経費を合わせ国内総生産(GDP)の2%にすることを決めています。

 さらに、石破茂首相は27年度より後も「防衛力の抜本的強化」を続けるとトランプ米大統領に約束しています。トランプ政権は、日本の軍事費をGDP比3・5%にするよう要求しています。

 今後も大軍拡が続けば、暮らしの予算はいっそう圧迫され、国民は軍事費の莫大(ばくだい)な負担を背負わされることになります。

■無人兵器を大量に

 問題なのは額だけでなく、中身もです。

 「無人アセットによる多層的沿岸防衛体制(SHIELD)を構築」するなどとし、ロシアによるウクライナ侵略でも使用されている無人兵器の大量導入に乗り出そうとしています(1287億円)。

 陸・海・空の各自衛隊で、情報収集だけでなく、敵の車両や艦艇などを攻撃する無人航空機を取得します。陸自と海自は艦艇などを攻撃する無人水上艇、陸自は無人潜水艇も調達します。

 引き続き、他国領域にミサイルを撃ち込むことができる「敵基地攻撃能力」の保有・開発を加速しようとしています(1兆246億円)。

 防衛省が29日に陸自健軍駐屯地(熊本市)などへの配備計画を明らかにした「12式地対艦誘導弾能力向上型」や「島しょ防衛用高速滑空弾」といった各種の長射程ミサイルの開発・取得を進めます。音速の5倍以上で飛行する「極超音速誘導弾」の量産にも新たに着手します。

 政府が進める大軍拡は、「日本防衛」とは関係のない、米国の対中国軍事戦略を支えることが狙いです。これにストップをかけ、暮らし最優先の予算に転換するためにも、憲法9条を生かした外交で東アジアに平和を築く政治の実現が求められています。


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