2025年8月29日(金)
最賃発効 半年遅れも
地域間格差 275円に拡大
背景に財界の意向
地方最低賃金審議会(地賃審)で、最賃引き上げの目安額に積極的に上積みをはかる地域が広がる一方、改定額の発効日を大幅に遅延させる動きが起こっています。最賃引き上げが非正規雇用労働者に届かず、約半年のあいだ地域間格差は212円から275円へ拡大します。
最賃改定の発効日は、最賃法14条2の規定で、原則は改定額を公示して30日後です。春闘の賃上げを非正規雇用労働者に早く波及させるためです。例年は10月に各地で順次発効します。昨年は最も遅く改定額を決めた徳島でも11月1日発効でした。
ところが、今年は地賃審で発効日の遅延を決める事例が相次いでいます。翌年まで遅延する地域があるのは、最賃を時給だけで示す現行制度となった2002年以来初めて。
最賃額全国最下位951円の秋田は、目安に16円上積みし80円引き上げとした一方、来年3月31日まで発効を遅らせます。東京の10月3日から半年遅れです。
秋田県労連は、上積みについて「審議会の努力に敬意を表します」としながら、半年遅れで「効果は半減してしまいます」と指摘。東京都とは半年で28万円以上の収入格差になるとして「秋田県の労働者の尊厳を傷つけないでください」と訴えています。
埼玉は例年並みの審議日程なのに、8日に発効日遅延の先陣を切りました。目安どおり63円引き上げで11月1日発効。全会一致の慣例が破られ、労働者側委員3人が反対のもと、使用者側3人と公益委員1人(会長以外の2人は欠席)の賛成で押し切りました。
発効日遅延には財界の意向があります。経団連の春闘方針「経営労働政策特別委員会報告」は19年版から最賃改定の発効を遅らせるよう主張。また石破茂政権が「骨太の方針」でアピールした中小企業支援拡充を具体化しないことが、使用者側の強硬姿勢の口実となっています。
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