2025年8月27日(水)
きょうの潮流
石炭を掘り出す場所はとても狭く、低い天井から落ちた石で死亡した人もいた。海底の坑道は水漏れがして空気が悪くコレラが流行した。一番危険な一番深い所に朝鮮人を優先的に行かせた▼戦時中、山口県宇部市の長生(ちょうせい)炭鉱に連れてこられた朝鮮人労働者の証言です。83年前、そこで坑道が水没する「水非常」が発生。183人が取り残され、うち136人が朝鮮半島出身者でした▼戦争の真っただ中で救出は行われず、坑口は事故直後にふさがれ、場所さえ忘れられてきました。しかし、市民団体「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」が中心となって、追悼碑の建立や遺骨の収集活動に立ち上がりました▼寄付を募って昨年は坑口を掘り起こし、潜水調査を継続。そして、今月25、26の両日に大腿(だいたい)骨や頭蓋骨とみられるものを見つけました。当初からかかわった水中探検家の伊左治佳孝さんは「次のフェーズに入っていける」と▼現実的に困難として遺骨の発掘を拒んできた日本政府に突きつけた歴史的な発見。本来ならば国がやるべきことなのに協力さえしない無責任な態度に、刻む会の井上洋子・共同代表は「誠意のかけらも持っていない」と非難します▼折しも韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領が来日。志位議長は「被害者の名誉と尊厳の回復が何よりも大切で、そのために日本政府は誠意ある対応を行うことが重要」だと。日本の戦争政策のために動員され、いまだ冷たい海に沈む犠牲者、遺族の無念。それを放置したままで明るい未来は築けません。








