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2025年8月27日(水)

犠牲者か 頭蓋骨引き揚げ

山口・宇部 長生炭鉱調査2日目

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(写真)記者の質問に答える(左から)伊左治、井上、金京洙、金秀恩の各氏=26日、山口県宇部市

 戦時中に水没した山口県宇部市の長生(ちょうせい)炭鉱で26日、遺骨収容に向けた2日目の潜水調査が行われ、事故犠牲者と見られる頭蓋骨が引き揚げられました。

 長生炭鉱では、強制動員された朝鮮人労働者を含む183人が犠牲になった水没事故について、市民団体「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」と水中探検家の伊左治佳孝さんによる潜水調査が進められています。

 この日の調査では、韓国「テック・コリア」所属ダイバーの金秀恩(キム・スウン)さんと金京洙(キム・ギョンス)さんが沖に突き出ているピーヤ(排気・排水塔)から水中の坑道に入り、前日に引き揚げた3本の骨と同じ地点を中心に探索しました。

 ダイバーによると、坑道の底に半分程度埋まった状態の骨を掘り出したほか、衣服を着た上半身とみられる骨も確認しました。引き揚げた頭蓋骨は下顎が欠けた状態で、高さ18センチ、幅14センチ、奥行き19センチ程度。

 金京洙さんは「刻む会の長年の取り組みと伊左治さんの昨年からのトライが今日の発掘につながった」と話し、金秀恩さんは「前日に確認したものよりも、さらに多くの方の遺骨が残っているかもしれない」と語りました。

 事故犠牲者の孫である50代の日本人女性は「若くして命を落とした祖父は、きっと悔しかったことだろう。尊い命をこの世にもう一度出すことができたことに感謝している」と述べました。

 年内の潜水調査は資金不足のためこの日で終わります。これまでに780万円以上がクラウドファンディングと寄付で寄せられているものの、安全に潜水するための装備や潜水のスペシャリストを海外から招請するには約3000万円の費用がかかることから、日本政府に対し、国の事業としての実施を求めています。

 同会の井上洋子共同代表は「たくさんのご遺骨が坑道の中に眠って救出を待っている」と話し、「日本の植民地政策のために亡くなった方がまだたくさんいることを、日本政府は放っておくのか」「強制連行・強制労働の象徴であるご遺骨を故郷にお返しすることは政府の責任。政府がこのプロジェクトに参加するように、今日のご遺骨が力を与えてくれたと思う。政府にはこのご遺骨に応えていただきたい」と訴えました。


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