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2025年8月26日(火)

日本配備開始のF35B戦闘機

運用・維持に1機856億円

1回飛ぶだけで1000万円

 米国製のF35Bステルス戦闘機3機が7日、航空自衛隊新田原(にゅうたばる)基地(宮崎県新富町)に到着しました。同機の機体単価は222億円(2025年度予算)で、現在の主力戦闘機F15(約100億円)の2倍以上。自衛隊史上最も高価な戦闘機です。それ以上に高額なのが修理や改修、燃料などにかかる運用・維持費で、30年間運用した場合の総額(ライフサイクルコスト=LCC)は1機あたり856億円。1回飛ぶだけで1000万円以上かかる見通しです。


グラフ
写真

(写真)新田原基地(宮崎県新富町)に配備されたF35Bステルス戦闘機(右)。左奥がF15戦闘機=7日

 防衛省は、(1)通常の離着陸を行うF35A105機(2)短距離離陸・垂直着陸(STOVL)が可能なF35B42機―合計147機を導入する計画です。防衛装備庁が4月に公表した資料によれば、147機を30年運用した場合、総額は約9・2兆円という途方もない金額になります。

 このうち、F35Aの総額は5兆6087億円。単純計算で1機あたり534億円になります。ところがF35Bは3兆5933億円で、1機あたり856億円。F35Aの1・6倍に上ります。その7割以上が運用・維持費です。F35Bの寿命は1機あたり8000飛行時間を目安としており、1回の飛行に1000万円以上かかる計算です。

 さらに、米国防総省は機体を動かすソフトウェアの更新を頻繁に行っており、そのたびに機体単価や改修費用が高騰。軍事費増を引き起こし、国民の税金が米軍需企業に永続的に吸い取られる仕組みです。

 加えて、F35Bは「いずも」型護衛艦を「空母」化して搭載する計画ですが、そのための甲板の改修費がかかります。ミサイルなど搭載する兵器も1発あたり数億円と高価です。

 一方、故障による長期離脱も頻発しています。3月25日、米軍のF35Bが高知空港に緊急着陸。エンジン交換で42日も滞在しました。さらに今月10日には英軍のF35Bが鹿児島空港に緊急着陸し、いまだ離陸できていません。米国ではF35の稼働率の低さが問題になっています。

 F35B導入の背景には、「空母を持ちたい」という防衛省・自衛隊の思惑や、政府が米側の武器「爆買い」要求に応じたという政治的事情があります。そもそも、F35Bは違憲の攻撃型空母保有につながるもので、導入は許されません。加えて、当初は「やらない」と説明していた垂直着陸訓練が、夜間を含めて新田原で強行されることになり、地元では反発が強まっています。F35配備計画は中断すべきです。


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