2025年8月25日(月)
主張
外国人労働者
歪んだ制度 廃止含め見直しを
日本で働く外国人労働者が230万人(2024年10月現在)を超えて増えています。アジアの国々の若い世代が希望を抱いて日本を選択し、社会に溶け込み貴重な労働力として貢献している現実への理解が求められています。
しかし、「日本人の賃金が上がらないのは外国人のせいだ」とねじ曲げ、排外主義を唱える政党が先の参院選で支持を広げたことは重大です。
いま日本の政治に求められるのは、排斥ではなく、低賃金の劣悪な労働を外国人労働者に肩代わりさせている政策をやめることです。
■安倍政権下で急増
最大の問題は技能実習制度です。日本共産党は早くから廃止を主張してきました。日本で一定期間実習し、習得した技能・技術を発展途上地域に伝える「国際貢献」が制度の建前です。しかし実際の目的は人手不足分野の穴を埋める安上がり労働力の確保です。労働者なのに実習生と呼ぶのは「外国人の単純労働者は受け入れない」という体面を保つためで、建前と本音がまるで違う実に歪(ゆが)んだ制度です。
現在、日本で技能実習生として働いている労働者は47万人です。人手不足が深刻化する製造業で働く外国人労働者の46%、21万7千人が実習生です。来日前の借金が平均54万円、職場移転の自由がなく、実習生を雇用主に斡旋(あっせん)する監理団体が独立性に欠けるなど構造上多くの問題があります。最低賃金以下の賃金、パスポート取り上げ、暴力などが頻発し、24年の失踪者は過去最高の9753人にのぼりました。
技能実習生の急増を招いたのが安倍晋三政権の成長戦略です。14年に経済財政運営の「骨太の方針」と「日本再興戦略」の柱に「外国人材の活用」をすえ、技能実習制度の受け入れ枠と実習期間(最大3年を5年に)の拡大策を打ち出しました。18年には特定技能(5年上限)という在留資格を新設し、実習期間終了後、引き続き日本にとどまって働く道を開きました。技能実習制度がますます拡大する要因になりました。
■ごまかしをやめる
技能実習制度は24年の法改正で育成就労制度(27年施行、就労期間3年)と名称が変わります。「国際貢献」という建前が通用しなくなり「人材確保と育成」になります。しかし職場移転の自由制限など基本は技能実習制度と同じです。人手不足分野での外国人の安上がり活用という根幹が維持され、人権侵害が再生産される懸念があります。
「実習」「育成」というごまかしで、外国人労働者を使って低賃金構造を維持しようとするのはまともな受け入れ政策とはいえません。これでは日本はますます賃金が上がらない国になり、経済の低迷をもたらします。廃止を含めた見直しを強く求めます。
大切なのは秩序ある受け入れです。雇用主の変更、移動の自由▽在留資格の種類にかかわらず家族帯同を実現▽国の責任による生活支援体制▽最低賃金を全国一律制に▽自己負担の少ない日本語教育の充実―など、どこの地域で働いてもまともな収入を得て、人間らしく暮らせる受け入れ条件を整備することです。








