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2025年8月24日(日)

マイナ「一本化」で煩雑に

保険医療の“証明書”9種も混在

保険証利用停止撤回を

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(写真)(上)マイナンバーカード(マイナ保険証)と(下)資格確認書

 政府は、「マイナ保険証」への一本化に向けて、12月2日以降、従来の健康保険証の利用を停止する方針です。「一本化」と言えば、さまざまな煩雑な手続きが一つに効率化されるように聞こえますが、実態は真逆。保険証の廃止以降、医療機関の窓口で利用者の保険情報を確認する“証明書”は、期限切れ保険証の暫定的な運用も含めると少なくとも9種類も混在する異常事態となります。

 これらの混在する“証明書”は、これまでは保険証1枚あれば不要だったものばかりで、政府が従来の保険証の廃止に固執し、そのために例外を積み重ねた結果です。政府のデジタル化の押し売りで、事務手続きが効率化するどころか、より煩雑となっているのが実態。混在する“証明書”を見てみると―。

◆マイナンバーカード(マイナ保険証)

 2022年10月13日、河野太郎デジタル相(当時)は会見で「健康保険証とマイナンバーカードの一体化」と24年秋の保険証廃止を発表。今日まで続く混乱の始まりでした。

◆顔認証マイナンバーカード(マイナ保険証)

 顔認証マイナンバーカードは、高齢者施設の入居者など暗証番号の設定や管理に不安のある人を救済する苦肉の策。暗証番号の設定は必要ありませんが、本人確認は機器による顔認証か目視のみで、住民票のコンビニ交付など一部サービスを受けられません。

◆顔写真なしマイナンバーカード(マイナ保険証)

 1歳未満が申請した場合、顔写真のないマイナンバーカードが交付されます。有効期限は5歳の誕生日。顔認証、目視確認ができないので、暗証番号の設定が必要です。

◆資格情報のお知らせ

 マイナンバーカードに保険証利用を登録した人全員に申請なしで交付。医療機関で「マイナ保険証」が読み取れないなど、何らかの事情で資格確認が行えない場合に提示します。

 国民健康保険に限り来年3月末まで「資格情報のお知らせ」を提示すれば、医療費の10割自己負担を回避できます。

◆資格確認書

 記載事項は保険証と同じ。有効期限は保険者が設定します。(5年以内)

 マイナンバーカードに保険証利用を登録していない人や、同カードの電子証明書の有効期限が切れた人などに申請なしで交付。後期高齢者医療制度の加入者には26年7月末まで全員に申請なしで交付されます。

◆マイナポータルのPDF

 「マイナ保険証」にトラブルなどがあった場合、政府サイト「マイナポータル」の保険情報を記載したPDFをスマホに保存し、医療機関で提示すれば受診できます。(紙の写しも可)

◆被保険者資格申立書

 転職のタイミングやカードリーダーのトラブルなど何らかの理由でマイナンバーカードによる資格確認ができない場合、「被保険者資格申立書」を記載し、医療機関の窓口に提出すれば医療費の自己負担が3割(未就学児は2割、70歳以上は1~3割)となります。

◆スマートフォン

 政府は9月中旬から準備が整った医療機関から、「マイナ保険証」を搭載したスマートフォンの運用を順次開始します。運用開始時点でスマホに対応できる医療機関はごくわずか。日本医師会は、スマホのほかに「マイナ保険証」を持参するよう呼びかけています。

◆従来の健康保険証

 政府は12月2日以降、従来の保険証の利用を停止する方針ですが、国保と後期高齢者医療のみの暫定的な対応として、期限が切れた保険証でも来年3月末まで10割自己負担を回避できます。

 デジタル庁は、セキュリティーを強化した次期マイナンバーカードを26年に導入する予定ですが、いま急がれるのは、12月に迫った保険証利用停止の撤回です。(森糸信)

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