2025年8月23日(土)
きょうの潮流
ハーモニカを吹き、自由と孤独を愛する旅人スナフキン。体は小さくても勇敢で独立心旺盛なミイ。臆病だけど社交性もあるスニフ。ムーミン谷の仲間たちには作者自身が投影されています▼いまも世界中で愛されるシリーズの第1作が世に登場してから80周年となる今年。日本でも「トーベとムーミン展」が都内で開かれ、作者の生涯をたどることで作品をより知る機会となっています▼1914年に芸術家の両親のもとフィンランドで生まれたトーベ・ヤンソンは、青春時代に戦争の恐怖や絶望感を味わいました。家族の崩壊や大切な人との別れ。それまで絵画や風刺漫画を描いてきましたが、戦争が終わった時、物語を書こうと思いつきました▼そこはあたたかな日の光が差し、花が咲き乱れ、果物がたわわに実る場所。どんなに恐ろしく悲しいことも胸躍る冒険の味付けで、最後は幸せな結末を迎える。そんな世界へ子どもたちをいざなって▼トーベは共生や思いやり、寛容といった普遍的な価値観を描き出す力を持っていた。そして恐れを抱き、望みを失いかけていた人びとに希望と勇気を届けた―。展示に込めたメッセージです。彼女の本は「驚くほど今の時代に必要なテーマを扱っている」とも▼たとえ、なんのためであっても、みずからの信条を犠牲にすることを喜ばなかったスナフキン。トーベが彼に託した言葉が、一角に掲げられていました。「あんまりだれかを崇拝すると、本物の自由はえられないんだぜ。そういうものなのさ」








