2025年8月22日(金)
能登地震被災者に医療費「返納」督促
石川県後期高齢者医療広域連合
能登半島地震(2024年1月)で被害を受け、医療費の本人負担が免除となった75歳以上の被災者に対し、石川県後期高齢者医療広域連合は「免除の要件を満たしていなかった」として昨年1月までさかのぼって免除した分を「返納」するよう督促している事例があり、問題になっています。
![]() (写真)免除されていた医療費4万1464円を返納するよう求める督促状(一部加工) |
督促を出しているのは約5500人で、請求額は1億2700万円。督促を受けた被災者が死亡している場合は、相続人が債務を相続するとしています。
厚生労働省は昨年1月、能登半島地震での被災によって医療費の支払いが困難な人に対して自己負担額を免除する事務連絡を、都道府県の後期高齢者医療広域連合などに発出。住宅の全半壊や生計維持者が死亡していることなどを要件としていました。
自宅である石川県営住宅が被害を受けた男性のもとに督促(8月8日付)が届いたのは10日以降でした。昨年3回入院した男性の返納金額は4万1464円。28日までに納付するよう督促しています。
同県後期高齢者医療広域連合の担当者によると、罹災(りさい)証明が発行されていない期間は医療機関の窓口で患者から口頭の申告があった場合は支払い免除ができるとする厚労省通知があったといいます。その後に発行された罹災証明や申請の状況を見て、「要件を満たしていることが確認できなかったので請求を出している」と説明しました。
納付期限を債権管理条例で定められた2倍に設定しているなどとして、「(納付を)急がせていない」としています。また、生活が困窮している被災者について、「『自治体に救済を求めてください』としか言いようがない」と話しました。
東日本大震災で被災した岩手県は、医療費を免除されていた非課税世帯の被災者が課税世帯になった場合などに同様の督促を出したことがあると回答。宮城県は保存年限が切れたデータを廃棄したなどとして「わからない」としています。









