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2025年8月22日(金)

韓国 週休2.5日制・定年延長へ

労相「働く普通の人々の権利守る」

 韓国の李在明(イ・ジェミョン)政権が労働時間の短縮と定年延長の早期実現を目指しています。政策の推進役を担うのは金栄訓(キム・ヨンフン)雇用労働相。全国民主労働組合総連盟(民主労総)委員長を務めた経歴を持つ金氏は、「働く普通の人々の権利を守る」と意欲を見せています。


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(写真)韓国のネット通販最大手「クーパン」の労働環境を視察する金栄訓雇用労働相(中央)=7月30日、京畿道・華城(雇用労働省ウェブサイトから)

仕事と家庭調和

 週休2日制を同2・5日制に拡大し、法定の定年を現行の60歳から65歳に延長するのは、6月に就任した李大統領の選挙公約。金氏は「労働時間短縮と定年延長は高齢化、労働力減少などを突破するために重要な手段だ」と主張します。

 現行の法定労働時間は週40時間で、時間外労働も含めると52時間。韓国の年間労働時間は1865時間(2024年)で、経済協力開発機構(OECD)加盟国のうち6番目の長時間労働国。OECD平均の1736時間をはるかに上回っています。

 週休2・5日制の試験実施は、京畿道、済州道、蔚山市中区で地方公務員を対象に始めました。京畿道では100近くの民間企業も参加し、3年間の実施結果を基に、制度化を進めたいとしています。このほかソウル、大田、忠清南道、忠清北道、全羅北道では、8歳以下の子どもを持つ職員を対象に週休3日制を推進中です。

 これらの自治体が職員を対象に行ったアンケート調査によると、育児の時間が取れるようになり、「ワーク・ライフ・バランス」(仕事と家庭の調和)が改善したとの回答が多かったといいます。

 金氏は労働時間を短縮した場合、法定労働時間を企業に厳守させる必要性を強調します。「多くの中小零細企業の労働者にとって、法定労働時間は絵に描いた餅になっている」として、「すべての働く市民のための労働行政を展開する」と強調しています。

格差縮小に寄与

 金氏は「週休2・5日制も定年延長も、必ず進まなければならない道」と繰り返し強調します。法定定年は60歳ですが、一方で年金の受給開始年齢は2033年に65歳に引き上げられます。このため、金氏は「今年から段階的に定年を引き上げないと、退職したのに年金を受け取れない労働者が出る恐れがある」と指摘します。

 財界は定年延長ではなく退職後の再雇用で対応できると主張しますが、再雇用後に給与水準を維持できるのは、労組のある大企業などに限られます。ほとんどの労働者は賃金水準が大幅に下がる嘱託社員にならざるを得ず、高齢者の賃金格差がいっそう拡大する恐れがあります。

 与党「共に民主党」の「定年延長タスクフォース」は、「社会的格差を縮小するためには、全ての労働者に普遍的に適用される法定定年の延長が望ましい」と提言。金氏も「中小零細企業労働者が年金も給与も受け取れない『ミスマッチ』に陥らないようにすべきだ」と強調しています。(面川誠)


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