2025年8月22日(金)
きょうの潮流
甲子園の高校球児たちを見ていて、漫画「逆境ナイン」のセリフ「無理が通れば道理引っ込む」を想起しました▼不可能と思わないで挑戦しようと積極的な意味で使われていましたが、本来は道理無視がはびこれば正しいことが行われなくなる、という批判的な意味です。トランプ関税しかり、無理を押し通す暴政は願い下げです▼参院選の京都選挙区で争点となった、北陸新幹線の京都延伸問題もその一つです。京都市内では8割が地下トンネルとなり、歴史と文化、くらしを支えてきた地下水脈が破壊・汚染され、5兆円超の建設費に見合う効果ものぞめない。京都が京都でなくなる、千年の愚行と京都仏教会が反対するなど世論が広がり、推進責任者の自民現職が落選寸前にまで追い込まれました▼選挙後、滋賀県米原市経由で東海道新幹線につなぐルートも含め「再検証」して推進すると言い出しました。しかし、米原ルートは京都に直結しないうえ在来線が切り捨てられるため、自治体が同意する見通しもなく除外されたものです。小浜市と結ぶ「現行ルート優位」を見越して再検証を言い出したとの指摘も▼仏教会の声明は「尊い自然は決して人の支配の対象ではなく、敬いながら共存すべきであるという仏教の教えにも遊離する」と。山河をぶち抜く無謀な計画に批判が噴出するリニア新幹線計画も同じです▼無理が通れば―の反対は「道理に向かう刃(やいば)なし」。国民の声と道理に立った政治です。やるべきは再検証でなく計画撤回では。








