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2025年8月22日(金)

給付型奨学生の困窮深刻

“家計苦しくなった”91%

NPO 食料支援応募の354人調査

 親に頼れない若者を支援する認定NPO法人「D×P(ディーピー)」は21日、給付型奨学生を対象にしたアンケート結果を公表しました。物価高騰の下、学生の困窮が深刻化し「危機的状況にある」として緊急の支援を求めました。


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(写真)会見する今井理事長=21日、東京都内

 同法人が運営するライン相談「ユキサキチャット」の登録者のうち、食料支援の応募者で、日本学生支援機構の給付型奨学金を受けている学生を対象とした調査です。7月に実施し、15~25歳の354人が回答しました。

 物価高で「家計が苦しくなった」とした学生は91%。全体の半数以上が満足な食事が取れていないと答えました。アルバイト代と奨学金で生活している学生は55%と、学業と就労の間で苦悩している実態が浮きぼりになりました。

 都内で会見した同法人の今井紀明理事長は、食料支援への奨学生の応募者は昨年比で2・5倍と急増し、「1日1食という学生も増えている」と発言。物価高でも奨学金は上がらず「実質的な奨学金の価値は1割ほど減少している」と述べました。政府に対し、困窮する学生への緊急給付金、奨学金への物価スライド制の導入などを求めました。

 今井氏は、夏休みなどの長期休暇は、親に頼れない若者は孤立しやすく、ひとり親世帯、貧困、不登校など複数の不安材料が重なると自死などにつながりやすいと懸念。若者は社会保障の存在を知らず、制度利用にもつながりづらいとして、「一人で悩まず、ぜひ相談してほしい」と呼びかけました。

“ほとんど食べていません”“物価高騰で栄養とれない”

若者たちの声

 「所持金が5000円しかありません」

 「ガスを止められました」

 「節約のため、ほとんどごはんを食べていません」

 「ひとり親で育ちました。今は親元を離れて暮らしていますが、家賃や食料電気ガスなど自分で払うものが増え、なおかつ家賃もご飯もガスも電気も値段が上がり続けています。家賃が払えないので、夜ごはんと昼ごはんを抜くことが増えました。学校でおなかがなるのが一番の悩みです。恥ずかしいです」

 「幼い頃に父親をなくし、母親は私と姉や妹の学費や生活費も文句ひとつ言わずに出してくれている。母親にこれ以上の経済的負担をできる限りかけたくない。しかし現在、食費、光熱費などの生きていく上でかかってしまう費用はどんどん値上がっている。当たり前に食べられていたお米も手に入らなくなり、野菜も高く、スーパーに行くたびにこれといったものは買えずに終わることも増えた」

 「教職課程にいる自分としては、今の教育に不満を感じています。なぜなら今の子どもたちは学びの保証がされていないからです。今、物価高騰によってちゃんと栄養もとれずに、生活面での負担が倍になったからです。こんな状況では、学びに集中できず、格差が広まる一方です。実際自分も1人暮らしで教職課程の宿題が負担になってパンパンで先生の前で泣いたこともあります」


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