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2025年8月17日(日)

主張

戦後80年 靖国参拝

政治家の歴史偽造を許さない

 戦後80年、戦場で戦った兵士の生存者がごくわずかとなり戦争体験世代の政治家も減るなか、日本の植民地支配と侵略戦争を美化する新たな動きが起きています。国会議員が、日本軍の南京虐殺を公然と否定するなど、看過できません。政治家による歴史の偽造を止める必要があります。

 15日、現役閣僚2人のほか自民党保守派や超党派の議員連盟(自民、維新、国民民主、参政、日本保守など)の国会議員が靖国神社を参拝。参政党は国会議員18人全員と地方議員合わせて88人が集団参拝しました。

 これらの政治家が一様に口にするのは、「国策に殉じた」「尊い犠牲」への「尊崇の念」です。参政党の神谷宗幣代表は「国を守るため、みんなを守るために戦われ尊い命を失った方々」への「感謝と追悼」だとのべました。

■侵略だと認めない

 しかし、先の戦争は中国・アジアへの侵略戦争です。「国を守るため、みんなを守るため」の戦争ではありません。

 これらの政治家の発言の根底にあるのは、日本の行った戦争を侵略戦争だと認めない誤った歴史認識です。

 神谷氏は那覇市での街頭演説(6月23日)で、日中戦争について「(日本は)中国大陸の土地なんか求めてない。日本軍が中国大陸に侵略していったのはうそだ」「中国側がテロ工作をしてくるから自衛戦争としてどんどんどんどん行った」とのべました。

 しかし、中国が日本に攻めてきたわけではありません。朝鮮を植民地化した日本がさらに中国に侵攻し、中国の領土に満州国という傀儡(かいらい)国家をつくり、開拓団を送って中国農民の土地を奪い、中国国民に残虐行為を行ったのです。日本の侵略に抵抗した中国側こそが自衛の戦いでした。

 戦後50年の「村山談話」は日本の「植民地支配と侵略」を「疑うべくもない」歴史の事実と認めました。しかし、戦後70年の安倍晋三首相(当時)の談話は、日本の植民地支配と侵略戦争に触れず、日露双方が朝鮮や中国東北部の支配を争った侵略戦争である日露戦争を称賛しました。

■無残な戦死を美化

 安倍氏ら、日本の侵略戦争に無反省な勢力が政治の中枢を占め、教科書の歴史記述にも介入してきたことが、参政党ら侵略否定の極右的潮流につながっています。歴史の事実に反する参政党の発信がSNSなどで力を持ちかねないだけに、歴史の偽造を許さない取り組みが求められます。

 日本軍兵士は、天皇制政府の誤った国策で無残な死を遂げた犠牲者でもあります。しかし、それを「尊い」と美化することは、いまの「戦争する国づくり」のなかで、誤った国策のために死ぬことを肯定・推奨することです。

 そもそも靖国神社は、国民が戦死をいとわないための精神的支柱でした。戦争犠牲者でも、空襲や原爆の犠牲者など、軍人・軍属以外は祭られていません。戦争犠牲者追悼・不戦の誓いの場所ではなく、いまも日本の行った戦争を「アジア解放」の戦争だとする侵略戦争肯定の施設です。

 政治家の侵略戦争美化を厳しく批判し、対峙(たいじ)していかなければなりません。


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