2025年8月17日(日)
きょうの潮流
数億人。台湾をめぐる米中核戦争をシミュレーションした際に出た死者数です。米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)が昨年12月に公表した報告書の中にあります▼15回実施したうち三つのシナリオで、都市部に攻撃が及ぶ戦略核の応酬となり破局的な結果に。別のシナリオでは、米軍は戦争開始から10日後に日本国内へ戦術核兵器を持ち込みました。その5日後に中国は日本の航空基地を核攻撃。米軍も核兵器で中国の核施設へ反撃、中国の核攻撃はアラスカやハワイにも▼報告書にはこのシナリオでの死者数の記載はありません。しかし日本各地が焦土と化したことでしょう。「台湾有事」想定の日米共同演習で自衛隊が米軍に「核の脅し」で対抗するよう求め、米側が応じたと報じられています。核戦争がもたらす地獄絵図を少しでも考えたのか、といいたくなります▼「力による平和」を信奉するトランプ米大統領に対して、米国内でも批判があります。ワシントン・ポスト紙は最近、「トランプ氏の『力による平和』の高い代償」と題する論説を載せました▼アフガニスタン戦争やイラク戦争をあげ「少なくとも2001年以降、米国の圧倒的軍事力は世界の平和をもたらさず逆に不安定を助長してきた」「短絡的な抑止力論は軍拡競争を促す」と▼この論説は、米軍準機関紙「星条旗」にも転載されました(7月3日付)。トランプ氏への追従では日本の平和は築けません。「核抑止」に固執する政治の転換は待ったなしです。








