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2025年8月16日(土)

主張

女性トイレの行列

スムーズな利用は人権の問題

 夏は長距離の移動が増える季節です。駅や空港、商業ビル、催しもの会場などの女性用トイレでできる長い行列、今年はどうでしょうか? 長い間、「女性は時間がかかるので仕方がない」とばかりに放置されてきた光景が、ようやく変わろうとしています。

 7月、政府は女性用トイレの行列問題を改善するため、関係府省庁連絡会議の初会合をもちました。行列解消のよい取り組み事例を広めること、トイレ設置数にかかわる各種の基準や調査をふまえ、国としてガイドラインを作ることなどを確認しました。

 花火大会や野外フェス、盆踊りなどの催しについては、バランスのとれた仮設トイレ設置、近隣施設のトイレ活用、常設の男性用トイレを一時的に女性用に転用することなどを緊急に呼びかけました。

■障害者らの運動で

 外出先でスムーズにトイレが使えることは、社会参加に直結する課題です。

 人権にかかわる問題だと訴えてきた障害のある人たちの運動が、車いす利用者や介助の必要な人、ストーマ(人工肛門・人工膀胱〈ぼうこう〉)への対応など、まだまだ必要数に足りないものの、貴重な前進につながってきました。「男性用トイレにも、おむつ替え台や乳幼児用設備を」という子育て世代の声も少しずつ現状を変えつつあります。

 女性用トイレの行列解消については、日本共産党の井上哲士前参院議員が繰り返し国会でとりあげ改善を迫ってきました。2023年5月の内閣委員会で井上前議員は、国土交通省が、行列の主な原因は利用者数に見合った男女の数になっていないことだと認めながら実態把握をしてこなかったことを追及しました。

■国会質問を重ねて

 女性はトイレの利用時間が男性の2・5倍かかるという調査や、イギリスの王立公衆衛生協会が便器数の男女比は1対2が適切とする報告書を出していることも紹介し、国が男女比の目安になる考え方を示すよう迫りました。

 24年には、能登半島地震の避難所での「トイレは男女共用で、夜は照明も少なくて怖くて使えない」という女性の声を紹介し、改善を要求。政府の避難所トイレの指針に生かされました。

 今年6月にも小・中学校トイレについて、避難所での便器の割合を男女1対3とする「スフィア基準(人道憲章と人道対応に関する最低基準)」にそった整備を求めました。

 国連は13年の総会で「全ての者のための公衆衛生」決議を採択し、トイレへのアクセスが重要な人権の課題であることをうたい、11月19日を「世界トイレの日」と定めています。

 女性は月経があり、妊娠中につわりでトイレに駆け込まざるをえないこともあります。加齢による排泄(はいせつ)トラブルも抱えがちで、女性用トイレの行列解消は政治がとりくむべき大事な人権の課題です。

 地域でも自治体に働きかけ学校をはじめ公的施設のトイレ改善、鉄道会社や大型商業施設に要望を届けるなどおおいに声を上げ、一日も早く行列のないトイレを「当たり前」の風景にしていきましょう。


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