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2025年8月15日(金)

主張

戦後80年の8月15日

歴史が教える軍事同盟の危険

 絶対主義的天皇制のもと侵略戦争を続けてきた日本政府がポツダム宣言の受諾を表明、無条件降伏した1945年8月15日から、80年です。

 いま日本の政治の舞台で先の戦争が「侵略戦争」であったことを公然と否定する言動が目立っています。侵略戦争から何を学び、どう向き合うのか―。「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起る」(憲法前文)ことを許さないため、今日の課題として鋭く問われています。

■侵略美化する暴論

 歴代自民党首相は日本の戦争が侵略戦争であったことを認めないばかりか、安倍晋三首相(当時)に至っては「間違った戦争」という認識さえ示しませんでした。自民党の西田昌司参院議員がひめゆり学徒隊の歴史をゆがめるとともに「侵略戦争でなかった」と強弁したのは記憶に新しいところです。参政党の神谷宗幣代表は「領土野心はなかった」「植民地の支配者を追い出しただけ」と美化します。これらは全く事実をゆがめ、歴史を偽造する暴論で、国際社会では通用しません。

 侵略戦争擁護者は米国などが日本を経済封鎖したのが戦争の原因といいますが、事実は日本が中国侵略を拡大し、撤退要求を拒否したため、経済制裁を受けたのです。

 大本営政府連絡会議、御前会議で決定された「大東亜政略指導大綱」(43年5月)では、マライ、スマトラ、ジャワ、ボルネオ、セレベスは「帝国領土と決定」すると領土野心を明記しています。

 だからサンフラシスコ講和会議で、日本に「感謝」した国はなく、侵略の非難がアジア各国から続いたのです。

 今日、教訓としなければならないのは、軍部でさえ確かな勝算も持てないまま、無謀かつ無責任な戦争に突っ込んだ重要な要因のひとつに軍事同盟の存在があるという事実です。日本はドイツ軍の攻勢に力をえ、世界再分割の軍事同盟・日独伊三国同盟によって戦争態勢をつくり、対米英開戦に突きすすんだのです。

 侵略戦争の歴史を見れば、日露戦争も日英同盟に支えられて踏み切ったのです。

 第1次大戦でも、日英同盟を根拠にドイツに宣戦布告、中国にある根拠地を接収し、南洋諸島も占領しました。

■米国の戦争に参戦

 戦争へと道を誤らないためには軍事同盟から手を切るべきです。これは日本だけでなく世界の痛苦の教訓です。だからこそ国際連合が生まれ、武力行使を禁止し、軍事同盟でなく、集団安全保障が打ち立てられたのです。

 もっとも日米軍事同盟は、戦前の日本が結んできた軍事同盟とは大きく違う点があります。それは、占領の継続としての国家的従属の軍事同盟だということです。

 その結果、日本は米国の戦争に巻き込まれ、自動参戦する危険にさらされています。台湾有事を念頭に「日本は西太平洋で最前線に立つ」(ヘグセス米国防長官)というのも米国の要請に他なりません。敵基地攻撃も、実際には米軍の情報、指揮のもとに自衛隊がおこなうことになります。

 二度と戦争をしない。憲法に刻まれた原点をあらためてかみしめるときです。


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