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2025年8月13日(水)

きょうの潮流

 「他人の不幸の上に自分の幸福を築いてはならない」。ロシアの文豪トルストイの言葉で、広島平和宣言などでもよく引用されています。核兵器で自国の安全を確保する身勝手な姿勢を批判するものですが、大阪の吉村知事が「万博は成功」と装う裏で判明した、万博工事をめぐる巨額代金不払い問題にも通じます▼不払いに関わるのは、分かっているだけでアメリカ、中国、ドイツ、インド、マルタ、アンゴラなど10カ国、4億円以上とも。下請け業者からは「土地を売り支払いにあてた」「学費を払えず息子が大学をやめた」「差し出せるものはすべて出した。あとは自分の命しかない」などの悲痛な声が▼ところが国や大阪府・市、万博協会は「民民の関係。当事者で話し合いを」とまるで人ごと。しかし国・自治体には不払いを是正させる指導監督の責任があり、協会も法令を順守させる責任が問われます▼不払い企業には外国のイベント会社や建設業の許可がない企業も。軟弱地盤で工期が短く日本の大手が敬遠し、府や協会の後押しで外資や無法な企業が参入したためです▼「いのち輝く」の名のもと、懸命に会場建設に当たった業者の暮らしや営業が破壊されてはなりません。緊急に立て替え払いや融資をし、建設業法に基づき指導監督を行うべきです▼トルストイは「他人の幸福の中にこそ自分の幸福もある」とも。万人の幸福をめざすはずの万博が人を不幸にして「成功」と言えるのか。万博はいよいよ瀬戸際に立たされています。


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