2025年8月10日(日)
主張
被爆80年・世界大会
非核・平和の実現へ希望と勇気
内外の注目を集めた被爆80年の原水爆禁止世界大会は9日、核兵器廃絶をめざす行動を世界によびかけ、長崎で閉幕しました。
■世界の本流を示す
大会には、核兵器禁止条約を推進する諸国政府の代表や反核運動の代表など、15カ国、200人以上が海外から参加しました。
ロシアのウクライナ侵略、アメリカと同盟国の大軍拡、イスラエルのパレスチナ・ガザでのジェノサイド(集団殺害)など、世界が戦争か平和かの重大な岐路に立たされています。核保有国や一部の国が核兵器への依存を深めていることが、世界が核兵器使用の危機に直面する深刻な事態をひきおこしています。
大会は、重大な情勢にたちむかう決意とともに、それを打開する希望と勇気にみちたものとなりました。
国際会議(3、4日)では、多くの参加者が、核兵器禁止条約の重要性を強調しました。国際会議宣言は「危機を乗りこえ、前進するたしかな展望がある」とし、「(核兵器禁止)条約を生み出した被爆者を先頭とする市民社会と諸国政府との共同こそが、世界の本流である」と述べました。そして、条約参加を求める世論の喚起、とりわけ核保有国と同盟国での運動の発展をよびかけました。
来年には、米ロ英仏中の核五大国も参加する核不拡散条約(NPT)再検討会議が開かれます。核軍縮の交渉が停滞、後退するもとで、国際会議宣言は、NPT再検討会議に際して、国際共同行動をよびかけました。世界の反核平和運動を結集し、諸国政府との共同を発展させて、逆流をのりこえ、前進する機会となることが期待されます。
4日、7日には被爆80年の特別プログラムが行われ、被爆の実相を証言や映像で明らかにするとともに、被爆者運動の歴史が紹介され、参加者に大きな感動を与えました。講演した日本原水爆被害者団体協議会(被団協)の田中熙巳(てるみ)代表委員は、「核兵器の非人道性を世界中に広げよう」とよびかけ、ノーベル平和賞の受賞を活用して運動を広げてほしいと訴えました。
今年の大会では、ジェレミー・コービン前英国労働党党首などヨーロッパの議員、日本共産党の志位和夫議長らが参加して、はじめて議員と市民社会の交流のフォーラム(5日)が開かれました。核兵器廃絶、国連憲章にもとづく平和構築、大軍拡反対、排外主義反対などで国際連帯をすすめることが縦横に議論され、画期的な集会となりました。この分野での発展が期待されます。
■「核抑止」の放棄を
石破茂首相は国会で、アメリカの核兵器使用を想定したとされる日米共同訓練について、「核抑止力」のためには「いろいろな想定がなされることは当然」などとして、否定しない言語道断の答弁を行いました。
広島の湯崎英彦県知事は平和記念式典で、「核抑止」が破られる危険性を指摘し、「核抑止力」を正面から批判しました。石破政権は、「核抑止」、アメリカの「核の傘」を捨て、核兵器禁止条約に参加すべきです。








