2025年8月10日(日)
きょうの潮流
被爆80年の夏、シンガー・ソングライターの福山雅治さんが今の気持ちを語っています。自身が作詞・作曲した「クスノキ」に寄せて出演したNHKの番組で、「社会課題を扱うことはマスト(必須という意味)」だと▼ふるさとの長崎にある、原爆で焼かれても生き続ける被爆樹木のクスノキ。それを題材に、どう表現しようかと悩み抜きました。「被爆樹木が語っている歌にすればできるかも。(歌詞の)我が魂を、人間ではなく樹木に置き換えたことで一気に書けました」▼1945年8月9日、午前11時2分。長崎は米軍による原爆投下で爆風が襲い、熱線に焼かれ、その年だけでも約7万4000人もの人々が亡くなりました▼福山さんは高校生の頃、山王神社にあるそのクスノキによく立ち寄りました。近くに被爆した父親が入院している病院があり、見舞いに訪れていたからです。父親はがんで他界しました▼「僕自身やれることがない。その無力感、虚無感がものすごくあって」。そんな思いを抱えながら完成までに24年もの時間を要しました。2014年に発表以来、平和を伝える歌として全国各地で広く歌われています。今年、新たに編曲した「クスノキ―500年の風に吹かれて―」をリリース。「音楽に思いをのせたら無限に続いていく可能性がある」と福山さん▼9日開かれた平和式典で、爆心地に近い城山小学校・山里小学校の二校の児童が合同で「クスノキ」を歌い上げました。確実に渡されるバトン。それは希望です。








