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2025年8月10日(日)

シリーズ 介護保険25年

訪問事業所ゼロ 115町村に拡大

半年で8増 報酬減が影響

 高齢者の在宅介護を支える訪問介護事業所が一つもない自治体が6月末時点で全国115町村にのぼることが9日、本紙の調べで分かりました。昨年末時点の107町村から半年間でさらに8町村増え、“空白”拡大に歯止めがかかっていません。自公政権が強行した訪問介護基本報酬引き下げ(昨年4月)の誤りが、あらためて明瞭になりました。(本田祐典)


グラフ

 本紙は、厚生労働省が半年に一度公表する介護事業所一覧(介護サービス情報公表システムのオープンデータ)をもとに、全国1741市区町村別に訪問介護事業所数を調査。事業所がない“空白”地域の存在やその分布を明らかにしてきました。

 今年1月には昨年末時点の一覧をもとに「事業所ゼロ107町村 半年で新たに10増」と同10日付で報じました。

 今回の調査では、新たに10町村が事業所ゼロになりました。他方、事業所ゼロから脱したのは2町村にとどまりました。その結果、事業所がない自治体数は8町村増えて115町村になりました。

 事業所ゼロの自治体数を都道府県別にみると北海道15(1増)▽長野県11(1増)▽沖縄県10(増減なし)▽高知県9(1増)―などです。中山間地域、農村地域、島しょ地域などから事業所が消え、自宅でサービスを受けられず転居する事態まで起きています。

「残り1」合わせ市区町村2割超

 事業所が残り1の自治体数は、半年前から3町村減って269市町村になりました。10町村が残り1からゼロに、9町村が残り2から1になるなど複合的な理由によるものです。

 事業所ゼロと残り1をあわせると384市町村にのぼります。全1741市区町村の5分の1を超えます。

 厚労省による事業所一覧公表は今回、例年より約1カ月遅れました。本紙は本来の公表時期に合わせ、介護基盤の充実が問われた7月参院選中に調査を予定しましたが、公表遅れで着手できませんでした。

 公表遅れの理由を厚労省は「社会的注目があるため内容を精査」(7月13日、老健局認知症施策・地域介護推進課地域づくり推進室)などと本紙に説明。社会的関心を認識しながら公表を遅らせ、政権に不都合な情報を参院選が終わってから開示しました。


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