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2025年8月10日(日)

ドイツの武器輸出 対イスラエル停止

 【ベルリン=吉本博美】ドイツのメルツ首相は8日、イスラエル向けの武器輸出を停止すると発表しました。イスラエル治安閣議がパレスチナ自治区ガザの最大都市ガザ市を制圧する軍事作戦を承認したことへの対抗措置です。

 メルツ氏は声明で、イスラエルが今回発表した苛烈な軍事作戦でどのように停戦交渉と人質の解放という目標を達成するのか不明瞭だと指摘。ガザの民間人被害を深く懸念するとし、ガザで使用可能性のある軍事装備品の輸出を当面の間は承認しないと表明しました。

 またイスラエルには自衛権があるとする一方で、国連やNGOの人道支援物資がガザに届くよう運搬経路を確保し、人道状況を改善する責任があると指摘しました。

 ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、2023年のイスラエルへの武器輸出はドイツが30%を占め、米国(69%)に次ぐ第2位です。23年10月から今年5月にかけてのドイツの輸出総額は約4億8500万ユーロ(約789億円)にのぼり、銃器や弾薬、兵器部品、電子機器などを供給していました。

 公共放送ARDによる6月の世論調査では、イスラエルへの武器輸出について「停止」あるいは「厳格に制限」すべきだとの意見が7割を占めました。ドイツ政府は、ナチスによるユダヤ人虐殺の歴史からイスラエル擁護の立場を堅持していましたが、最近はガザの人道危機への対処や停戦交渉を強く求めています。


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