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2025年8月9日(土)

少数与党国会 問われる各党

「二つのゆがみ」切り込む共産党

 自民・公明の与党が衆参ともに過半数を割る新しい政治状況のもと、どう政治を前に動かすのか。各党の姿勢が問われています。参院選後初の臨時国会(5日閉会)で日本共産党は、「財界・大企業中心」「アメリカいいなり」の自民党政治そのものの大本からの変革を正面から訴えました。

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(写真)質問する田村貴昭議員=4日、衆院予算委

 「参院選で示された民意を受け止め、消費税減税に踏み出すべきだ」―日本共産党の田村貴昭議員は4日の衆院予算委員会で、こう石破茂首相に迫りました。参院選の大きな争点となった物価高騰対策と消費税減税。選挙後の世論調査で75%の人が消費税の減税・廃止を求め、自民党を含む参院選の全当選者の6割が減税の立場を示しています。

 石破茂首相は「民意を尊重しなければいけないのは当然だ」と答弁しました。田村氏は、これまで減税の恩恵を受けてきた大企業や富裕層に応分の負担を求めれば、消費税5%減税の財源を賄えると主張。「財界・大企業中心」の自民党政治そのものをただすよう求めました。

 同委では立憲民主党の野田佳彦代表も「民意で示されたことは、(消費税)減税だった」と指摘。同党が掲げる時限的な食料品の消費税ゼロ%や給付付き税額控除の検討を求めるとともに、減税を主張する野党各党と考え方を整理したいと述べました。

 消費税減税をめぐっては4日、野党11党・会派の政策責任者が協議しました。日本共産党の山添拓政策委員長は、対象や方法に違いはあっても野党各党は参院選で消費税減税を訴えたとし、実現にむけ課題を洗い出すよう提起。立民の重徳和彦政調会長は協議後の会見で「違いはあるが減税していこうということはある程度一致するのではないか。消費税をはじめとした政策の議論を続けていきたい」と発言するなど、各党は議論を続けることを確認しました。少数与党国会のもと、民意に応えて消費税減税への扉を開くのかどうかが問われています。

 物価高対策を巡っては、野党7党が1日、ガソリン税の暫定税率を廃止する法案を衆院に共同提出しました。参院選前の国会でも野党が同様の法案を提出しましたが、参院で当時多数だった自民党が採決を拒否して廃案になった経過があります。

 参院でも自公が少数となるもと、与野党は暫定税率廃止を「今年中のできるだけ早い時期に実施する」と合意。法案成立の条件が開かれるなか、実現に向けて論点や課題を検討する実務者の協議が始まっています。

対米従属をただす論戦

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(写真)質問する山添拓議員=5日、参院予算委

 7月27、28両日、中国新聞は1面トップで、日米両政府が核兵器を使用するシナリオを議論して合同軍事演習で訓練し、自衛隊が米軍に「核の脅し」を求めたとの一連の共同通信の配信記事を報じました。被爆80年を前に、被爆地で衝撃が広がりました。

 山添氏は5日の参院予算委員会でこの問題を取り上げ追及。石破首相は、核使用を想定した訓練の実施やシナリオの存在を否定せず、「抑止力たりうるためにいろいろな想定がなされるのは当然だ」などと開き直り、「核抑止力」論にしがみつきました。

 参院選では、参政党の東京選挙区候補・さや氏が「核武装が最も安上がりだ」などと核保有を主張。「毎日」(1日付)によると、全参院選候補者を対象にしたアンケートに基づく当選者の政策への賛否で「核兵器を保有すべきだ」との回答が8人(参政党6人、自民党、日本保守党が各1人)にのぼるなど、「核抑止」に依存する動きがみられます。

 それだけに、核戦争につながりかねない核使用想定訓練の危険を告発し「核抑止力」論の克服を主張し、異常な「アメリカ言いなり」や対米従属のゆがみをただした日本共産党の論戦が光っています。

 一方、衆参両院の予算委では、日米関税交渉の不備が浮き彫りになりました。合意文書さえ存在せず、日米の説明には食い違いがある問題について石破首相は「文書をつくることによって関税の引き下げが遅れることを一番恐れている」と弁解。立民の野田代表は「文書もつくらなかったらどんどん拡大解釈をして日本は、ぼられ続ける」(4日)と批判しました。

 こうした中、ルール無視のトランプ米政権と足並みをそろえるようけしかけたのが参政党の神谷宗幣代表でした。トランプ大統領が表明した世界保健機関(WHO)脱退や脱炭素政策やDEI(多様性・公平性・包摂性)政策の廃止などについて「一緒にやろうと提案するつもりはないのか」と石破首相に要求(5日)。「アメリカ言いなり」をただすどころか、トランプすり寄りの姿勢をあらわにしました。

自民政治転換で結束を

 参院でも与党が少数に追い込まれた国会では、自民党政治に代わる新しい政治への模索が始まる一方で、少数与党と個別に政策協議を行う動きも出始めています。

 日本維新の会の岩谷良平幹事長は4日の衆院予算委で、同党が掲げる「副首都」構想の実現を要求。石破首相は「基本的な考えに異論はない」と呼応しました。維新内には連立入りも浮上しています。

 昨年の総選挙に続き、参院選でも自民党に厳しい審判が下された裏金事件では、立民の野田代表が企業・団体献金の受け皿を政党本部と都道府県連に限定する案に言及し、「落としどころを一緒に協議していこう」(4日)と呼びかけたのに対し、石破首相が「そうさせてもらう」と応じています。

 野田代表が示した案では、これまで企業・団体献金の禁止を主張してきた立民の立場が大きく後退しかねません。しかし、自民党の裏金事件に対する国民の批判は収まっておらず、金権腐敗の大本にある企業・団体献金の全面禁止に踏み出さなければ、政治の信頼は取り戻せないのです。

 少数与党と個別政策で協議する主導権争いではなく、自民党政治を変える方向で野党は結束すべきです。


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