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2025年8月7日(木)

主張

最低賃金の目安

抜本的引き上げは政治の責任

 ダブルワーク、トリプルワークで仕事の掛け持ちを余儀なくされる労働者、離職者が相次ぐ介護現場―最低賃金に近い水準で働く人たちの生活は物価高で厳しさを増しています。政治の責任で最低賃金を抜本的に引き上げることが強く求められています。

 中央最低賃金審議会が4日、2025年度の最低賃金額(最賃)引き上げの目安を答申しました。約6%、全国加重平均で63円増の1118円となり、全都道府県が1000円を超えることになりました。

 しかし多くの労働者が求める「ただちに全国一律1500円」には遠く及びません。石破茂政権は「5年後までに全国平均1500円」を掲げます。この目標自体遅すぎますが、今回の引き上げ幅はそのために必要な毎年7・3%の引き上げにも及びません。

■中小の直接支援を

 引き上げのカギは、賃上げした中小企業への国の直接支援です。原材料や人件費の高騰を価格転嫁できず、多くの中小企業が困難を抱えています。そのなかで岩手、徳島、奈良、群馬などの県では最賃アップと中小企業直接支援をセットで行っています。

 日本共産党の小池晃参院議員は先の通常国会で、国の直接支援の検討を求めました。石破首相も、「それぞれの地域にふさわしい活用を国の財政を用いて支援する」と答弁しました。いまこそ直接支援に踏み出し、最賃引き上げに政府が積極的役割を発揮すべきです。

 地方ごとの最賃引き上げも重要です。都市部と地方の格差は24年度212円で、賃金の低い地方から、高い都市部への人口流出が社会問題になっています。都市と地方で生計費の格差はありません。地域ごとの最賃のランク分けをやめ、全国一律に踏み出すべきです。

■共産党の財源提案

 中小企業が物価高で苦境にある一方、大企業の内部留保は過去最高です。日本共産党は、大企業の内部留保の一部への時限的課税で10兆円の財源をつくり、中小企業を直接支援し、大幅な賃上げを実現することを提案しています。この提案は政府でさえ否定できなくなっています。

 25年度の中小企業予算の伸びはわずか0・1%、総額1695億円です。一方、アメリカの言うがままの空前の大軍拡で、軍事費は9・5%増、総額8・7兆円となっています。「トランプ関税」の影響も深刻です。

 低賃金と生活苦は、「財界・大企業中心」「アメリカ言いなり」の自民党政治の「二つのゆがみ」がもたらしたものです。外国人や高齢者「優遇」に原因を求める主張は国民の分断と対立をあおるものです。

 いまこそ、自民党政治の「二つのゆがみ」を根本から転換する立場で財源的裏付けも示して改善に取り組む日本共産党の頑張りどころです。

 今後、都道府県ごとの地方審議会で目安を参考に実際の改定額が決定されます。日本共産党は労働者・労働組合と連帯し、職場のたたかいとともに政治の責任での賃上げを求める国民的運動を広げるため奮闘します。


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