2025年8月7日(木)
きょうの潮流
8月6日、午前8時15分、原爆ドームの前に立つ。鐘の音が鳴り、黙とう。いちだんと響く蝉時雨(せみしぐれ)。元安川(もとやすがわ)の緩やかな流れ。相生橋(あいおいばし)を渡る広電の路面電車。夏の暑い一日の始まり…▼80年前のこの日も多くの人々が行き交っていたでしょう。一瞬にして命が消えることなど知るよしもなく。人類史上初めて原爆が落とされた広島の街。地獄の苦しみを現実のものとし、被爆者という存在を出現させた日です▼犠牲者の遺族や関係者、学生や海外から訪れた人たち。平和記念公園には大勢が集まり、式典には過去最多となる120の国と地域の大使などが参列しました。追悼とともに核兵器がもたらした被害の大きさ、残酷さを改めて胸に刻みながら▼「自国のことのみに専念する安全保障政策そのものが、国と国との争いを生み出すものになってはいないか」。国内外で核の脅威が高まるなかでの「平和宣言」は、世界中の為政者に呼びかけました。日本政府には核兵器禁止条約の締結国となることを▼しかし石破首相は、核なき世界への主導をいいながら、禁止条約には背を向けて米国の核の傘に頼る姿勢にしがみついたままです。ノーベル平和賞を受けた日本被団協が危機感をあらわに、なによりも禁止条約への参加を願っているのに▼世界の市民と手を携え、核廃絶の運動を積み重ねてきた原水爆禁止世界大会は、歴史の岐路にあたって「いまこそ決断と行動を」と訴えました。逆流をはね返し、穏やかな日常を奪われない未来をつくるために。








