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2025年8月5日(火)

主張

パレスチナ国家承認

米の顔色見ず日本も踏み出せ

 パレスチナ・ガザ地区の飢餓、人道状況は過酷を極めています。痩せ細った子どもらが食料を待っています。世界がこれを黙って見過ごすことは許されません。

 そうしたなか、パレスチナ国家承認の動きが加速しています。主要7カ国(G7)ではフランスに続きイギリス、カナダが9月の国連総会やその前に国家承認する意思を示しました。

 一刻も早くまともな食料援助を再開させることは国際社会の最低限の責任です。イスラエルに圧力をかけ、無法を止めるためにも、パレスチナ国家の承認は急務です。日本も直ちに踏み出すべきです。

■G7で広がる動き

 そもそもパレスチナ人には民族自決権があり、国際法と関連する国連決議にもとづき独立国家として認められるべきで、現在、国連加盟193カ国中約150カ国がパレスチナを国家承認しています。

 ヨーロッパではアイルランド、スペイン、ノルウェー、スロベニアが昨年、承認しました。7月末、G7で初めてフランスが承認を表明したのを受けて、地中海の島国マルタも国家承認する方針を明らかにしポルトガルも検討を始めるとしています。

 今回の広がりの背景にはイスラエルの非人道的行為への各国の怒りの世論の高まりがあります。マルタでは、政府に国家承認を求める大規模な市民のデモが起きています。パレスチナ国家承認を大きなうねりにし、イスラエルと同国を支援する米国を包囲する必要があります。

 パレスチナ問題の解決は、イスラエルとパレスチナがそれぞれ独立した主権国家として共存する「2国家解決」にあるというのが国際社会の合意です。

 フランスとサウジアラビアの共催で国連本部で7月28~30日に開かれた閣僚級国際会合では120人以上が発言し、「ニューヨーク宣言」を出しました。宣言は、パレスチナ人の自決権への支持を再確認し、パレスチナ国家の承認が2国家解決に不可欠であると強調。2国家解決が紛争解決の唯一・最善の道だとのべ、それに向けた断固たる措置と強固な国際的保障が必要だと訴え、期限を定めた具体的な措置を講じるとしています。国連加盟国に宣言への支持を呼びかけています。

■先延ばしする政府

 日本は2国家解決支持を表明し、ニューヨーク宣言起草の作業部会の共同議長国にも加わっています。しかし国家承認については、「適切な時期やあり方も含めて引き続き総合的に検討を行っていく」(7月29日、岩屋毅外相)として先延ばしし、承認に踏み切ろうとしません。イスラエルを擁護・軍事支援する米・トランプ政権の顔色をうかがっているからです。

 先の通常国会では、日本共産党も加わる超党派の議員連盟が岩屋外相に日本も国家承認するよう求める衆参146議員の署名を提出しました。日本は独自の判断で一刻も早く承認を行うべきです。

 同時に、国際社会と連携しイスラエルへの制裁など同国の戦争犯罪をやめさせる実効ある措置をとり、米国にも強く求めるべきです。


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