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2025年8月3日(日)

陸自駐屯地に旧軍美化史料館

幹部候補生学校おく前川原駐屯地 福岡・久留米

「大東亜戦争」と侵略を正当化

写真

(写真)史料館への経路にある小野田寛郎元少尉のパネル(見学者提供)

 陸上自衛隊の幹部候補生学校がある前川原(まえがわら)駐屯地(福岡県久留米市)内に旧大日本帝国陸軍をたたえる史料館があることが2日、本紙の調べで分かりました。旧日本軍の数々の侵略行為を正当化する展示を自衛隊施設内に置くことは批判を免れません。

 前川原駐屯地内にあるのは「雄健(おたけび)史料館」です。陸自の幹部候補生学校がある同駐屯地には、戦前・戦中に予備士官学校が置かれていました。

 見学者によると、史料館の案内には、「近代日本陸軍(明治建軍以来日清・日露戦争から大東亜戦争)に関する史料を展示しています。その目的は幹部候補生の教育に資することを主とし」ていると明記しています。

 入り口のフロアマットには「大日本帝国陸軍 歓迎」と書かれ、出口にも「大日本帝国陸軍 出口」とするマットが敷かれています。

 館内は、旧日本軍に関する展示があり、「北支事変 必勝」と当時の日中戦争の呼称が書かれた日の丸などが飾られていました。中国・北京郊外での発砲から起きた「盧溝橋事件」(1937年7月)から日中戦争に突入する経過の説明は、旧日本軍の侵略拡大を正当化し、中国側に責任があるかのような内容です。

 その説明には「日本側は不拡大を方針」としていたところ中国側が「即時開戦を唱え、かつ大兵力を北上させる態度を示した」としています。さらに「その後も中国軍の日本軍に対する不祥事件が続発し、武力衝突に発展した」としています。

 アジア太平洋戦争に至る「大東亜戦争概要」という展示では「(米国の対日資産凍結と対日石油禁輸に)日本は、あらゆる外交努力を尽くしアメリカとの和解を図った」などとし、開戦を望んだのが連合国側だったと強調する内容です。

 また史料館には、予備士官学校出身の小野田寛郎(ひろお)陸軍少尉(故人)をたたえる展示が目につきます。終戦後もフィリピンのルバング島に潜伏していた小野田氏を「戦後30年戦い続けた情報将校」「29年間にわたり遊撃戦を実施した」などと説明。等身大パネルがあるなど英雄としてたたえています。本紙の取材に、同駐屯地の広報担当者は、駐屯地内に雄健史料館があることを認めました。

 陸自の幹部候補生学校は、初級幹部への教育を目的にした機関です。対象は防衛大学校や一般大学の出身者や部内選抜者などとなっています。(矢野昌弘)


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