2025年8月2日(土)
被害回復・謝罪を
生活保護費減額 原告ら国に要請
「命握っている自覚あるか」
![]() (写真)厚労省前行動で訴える東京の原告=1日、東京都千代田区 |
生活保護費の減額処分取り消し訴訟(いのちのとりで裁判)で減額処分を「違法」と断じた最高裁判決後も、国は一方的に専門家の審議に対応を委ねるとして違法状態を放置し、原告に謝罪すらしていません。同裁判の原告・弁護団は1日、厚生労働省で、専門家審議の方針の撤回と早期全面解決に向けた「基本合意書の締結」を求めた厚労相宛ての第3次要請書を提出しました。
要請で、原告・弁護団は速やかな厚労相の謝罪を求め、最高裁判決後1カ月以上も違法状態を継続させていることの責任を追及しました。弁護団によると、同省担当者は「判決を正確に理解して誠実に対応するために、専門家会合の立ち上げが必要」だと主張し、謝罪の意思を明らかにしませんでした。
原告・弁護団は要請後、都内で記者会見しました。愛知原告の澤村彰さんは「国の回答は納得できない。利用者の命を握っている自覚があるのか」と怒りを表明。大阪原告の新垣敏夫さんは「最高裁判決を超える専門家の審議などない。新たな処分をたくらんでいるのか」と不信をあらわにしました。
2013年8月1日に国は1回目の保護費減額を実施。この日を忘れないとして訴訟名を「はっさく」とした東京訴訟の高田一宏弁護士は「すぐに、処分前にさかのぼった保護支給をすべきだ」と求めました。
いのちのとりで裁判全国アクション共同代表で、つくろいファンド東京の稲葉剛代表は「国の基本方針が見えない。政局で大臣が判断できないのではないか」と批判。同じく共同代表の尾藤廣喜弁護士は「被害回復から逃げている。われわれを愚弄(ぐろう)している」と強調しました。
第3次要請書は、国の姿勢を「当事者を軽視、愚弄するもの」「法治国家の基盤を揺るがすもの」と批判。基本合意書は(1)被害の回復(2)再発防止(3)「生活保障法」の制定―の3柱で、全利用者への真摯(しんし)な謝罪や、保護基準改定方法の適正化などを求めています。
同日、原告・弁護団は厚労省前で抗議行動に取り組み、「まずは謝罪を」「当事者の声を聞け」と訴えました。









