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2025年8月1日(金)

主張

警察・検察の不正

謝罪ですむなら警察はいらぬ

 警察、検察の不正捜査を断じる判決が後を絶ちません。

 名古屋高裁金沢支部は、39年前に福井市で中学生を殺したとして、7年間服役した前川彰司さんに再審で無罪を言い渡しました。(7月18日)

■ウソの証言を作出

 判決は、捜査に行き詰まった警察が、重要証人に飲食で便宜を図る、現金を渡すなど不当な働きかけや誘導でウソの目撃証言をつくった疑いがあると判断しました。

 また、目撃証言が事実と違うと知りながら不利な事実を隠す「不公正な意図」で、検察官が裁判で事実に反する主張をしたと断じ「不誠実で罪深い不正」だと批判。これら警察・検察の行為は刑事司法全体への信頼を揺るがす深刻なものだと指弾しています。

 上告期限はきょう1日です。上告せず無罪を確定させるべきです。

 滋賀県東近江市の湖東記念病院事件(2003年)では、再審で無罪となった元看護助手の西山美香さんが国と滋賀県に損害賠償を求めた裁判で、大津地裁は滋賀県警の捜査は違法だったとし県に賠償を命じました(同17日)。西山さんは患者を故意に死なせたとして殺人罪で12年間服役しました。

 この事件では取り調べに当たった警官が、西山さんの自分への信頼・好意を利用したり、弁護人への不信をあおる言動を繰り返すなどで、警察の描くストーリーに沿う虚偽の自白を作出・維持したと認められています。(20年の第2次再審大津地裁判決)

 17日の判決も、警官の違法な示唆・誘導や、患者が自然死した可能性を示す捜査報告書を意図的に検察に送らなかった疑いを指摘。公正に捜査されていれば、そもそも起訴されていなかったとし、県警の捜査は「個人の基本的人権の保障を全うしつつ事案の真相を明らかにする」という刑事訴訟法の目的に明白に反し違法だと断じました。

■検証し根絶を図れ

 自白や証言の捏造(ねつぞう)、無罪を示す証拠隠しなどによる冤罪(えんざい)が繰り返されています。袴田事件では、肉体的・精神的苦痛を与えて自白を引き出したのは実質的な捏造だと指摘され、物的証拠も捜査機関による捏造の「可能性が極めて高い」とされました。大川原化工機事件では、否認したのに容疑を認めたという調書をつくり、だまして署名させるなど事件自体が捏造だったことが明らかになりました。

 賠償や謝罪がされても罪を着せられた人が失った時間は戻りません。湖東記念病院事件で滋賀県警は同25日、西山さんに謝罪しましたが、それで済ますことはできません。

 公権力が意図的に人を罪に陥れることは絶対に許されず根絶しなければなりません。そうした不正・違法が枚挙にいとまがないのは異常です。

 警察・検察の捜査のあり方を正すため、関係機関から独立した公的な第三者委員会での検証が不可欠です。自白強要をなくすため▽取り調べの全過程の録音・録画▽法務省の拘置所に収容すべき被疑者を警察の留置場に入れる「代用監獄」の廃止―など捜査、刑事司法のあり方を早急に見直すべきです。再審法改正も待ったなしです。


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