2025年7月25日(金)
主張
首相退陣騒動
許されない自民党政治の延命
参院選結果をうけ自民党のなかで、石破茂首相(自民党総裁)が退陣する、しないのドタバタが続いています。石破首相は、「最も大切なことは国政に停滞を招かないことだ」と退陣報道を否定し、あくまで続投する構えです。しかし、歴代首相経験者も交えて退陣を求める動きが過熱しています。
石破政権居座りは許されません。自民大敗、衆参ともの与党過半数割れは、石破政権への厳しい審判というにとどまらず、行きづまった自民党政治そのものへの深い不信や失望の表れです。選挙の顔をすげ替える政権たらい回しでも、日本の政治の展望を開くことはできません。
■大きな激動の時期
自民党を中心にした政権が衆参両院で過半数を割り込むのは1955年の結党以来初めてです。それ自体、前向きの変化です。
審判をうけた自民党政治とは何でしょうか。内政では、諸物価が高騰するなか、暮らしの困難に応えない無策ぶりや、経済低迷を打開できないことです。外交では、日米貿易協定も国際ルールも無視したトランプ関税に追随するようなアメリカいいなりです。
自民党政治の行きづまりの中で、参院選では、補完勢力や国民の閉塞(へいそく)感に訴える極右的潮流が伸長する結果になりました。しかし、これらの勢力では「アメリカいいなり」「財界・大企業中心」という自民党政治の「二つのゆがみ」はただせません。自民党政治の延命か、暮らしといのち、人権を守る新しい政治への転換か。日本の政治は大きな激動期に入りました。
国際法・国連憲章違反のトランプ政権への追随は、関税問題に限りません。トランプ政権は、イスラエルのパレスチナ・ガザ地区でのジェノサイド(集団殺害)を支援し、国連憲章に反してイランを先制攻撃したのに、無批判なのが石破政権です。「日米同盟絶対」の思考停止から抜けだし、米国と対等の友好関係を築き、憲法9条を生かした自主的な平和外交に転換するときです。
今後、新しい自民党総裁選びや、少数与党と補完勢力などとの「部分連立」や「政策合意」など、自民党政治の枠内での合従連衡が強まるでしょう。しかし、歴代自民党政治の「二つのゆがみ」に手をつけなければ自民党政治を変えることはできません。それをただす改革をすすめる方向にこそ、政治の閉塞状況を打開する展望があります。
■時流に流されずに
激動のなかでいま、日本の政治には、時流に流されず正論を貫く政党が必要です。「国民の苦難軽減」を立党の精神に掲げる日本共産党は、消費税減税をはじめ諸要求の実現にむけ、国民運動と一緒にアクションをおこしていこうと呼びかけています。その中で、国民の立場に立つのか、自民党政治に助け舟を出す勢力になるのかが問われます。
排外主義の潮流の台頭の根っこには、国民生活の深刻な困難と、自民党政治への幻滅があります。その影響を受けている人々も含め展望を示す取り組みを強め、どんな政治的荒波のもとでも前進できる党づくりに励みます。








