2025年7月25日(金)
すべての国に気候対策義務
国際司法裁 初の勧告的意見
国際司法裁判所(ICJ、オランダ・ハーグ)は23日、温室効果ガスの排出による気候変動は「緊急かつ存亡にかかわる脅威」だと指摘し、すべての国が対策を取る法的義務を負っているとする勧告的意見を出しました。この義務を怠れば、国際的な「不法行為」にあたる可能性があるとしています。ICJが気候変動に関して国家の国際法上の義務について勧告的意見を出すのは初めてです。判事15人の全員一致でした。
今回の勧告的意見は、気候変動の影響を深刻な形で受けている南太平洋の島国バヌアツなどが主導して2023年に国連総会が採択した決議に基づく措置です。気候危機対策に背を向けるトランプ米政権や石炭火力発電を推進する日本政府などの姿勢が厳しく問われることになります。
勧告的意見は「環境は人間の生命の基盤であり、現在および将来の世代の健康と福祉はその上になりたっている」と強調。「人権を享受する前提」として気候変動対策の必要性を指摘しました。
また国連憲章や国連気候変動枠組み条約、人権に関する一連の国際条約などを根拠にして、気候変動対策に取り組むことは「国家の選択の問題ではなく法的義務だ」と強調しました。「化石燃料の生産、消費、開発権の承認、補助金の提供」を通じて、国家が温室効果ガス排出を放置することは「国際的な不法行為」になるとしています。
各国の権限が及ぶ地域で活動する企業による温室効果ガス排出についても国家に責任があるとしました。
また各国の温室効果ガスの排出量は科学的に検証が可能だとし、気候変動に対策を取らない場合は被害国への「全面的な補償」を行う結果になる可能性があるとしています。
気候変動対策の国際条約「パリ協定」の目標については、すべての締約国に順守を求めました。「国家は慣習国際法のもとで環境への害悪を防ぐ義務を負っている」と指摘し、パリ協定から離脱した米政権なども気候変動対策の義務から逃れられないとの見方を示しました。








