2025年7月24日(木)
民主的運動弾圧への危険な道
スパイ防止法案 参政が提出準備
参政党の神谷宗幣代表は22日の記者会見で、秋の臨時国会にむけ「スパイ防止法案」の提出を準備していると表明しました。法案の内容は検討中だといいます。同党は参院選公約に「日本版『スパイ防止法』の制定」を掲げていました。
同法を巡っては、1985年に自民党が「国家秘密法案」(スパイ防止法案)を提出。防衛・外交にかかわる「国家秘密」を外国に漏らした者に死刑を含む厳罰を下す内容で、統一協会(世界平和統一家庭連合)と一体の勝共連合が署名・請願運動を熱心に展開しました。しかし「国家秘密」の内容を限定せず、取材・報道の自由や国民の知る権利を脅かす危険性が明らかになり、反対世論の高まりと国会論戦による追及で、86年に廃案に追い込まれた経緯があります。
神谷氏は会見で「スパイ防止法で思想統制や思想のチェックをするつもりはない」としつつ、「昔、共産主義者がやっていた天皇制の打破とか国体の破壊とか、そういうことを言って実際に計画したり行動すること、もしくはそういう団体に情報を流すことに問題があり、それをチェックする法律をつくらなければならない」などと主張しました。
「国体」とは戦前のような天皇絶対の国家体制を意味します。戦前の天皇制政府は、治安維持法などで、「国体」に反対する者に極刑(死刑)を科し、日本共産党などを徹底弾圧し、広く国民を監視して自由と民主主義を圧殺しました。この反省から、現行の日本国憲法には「思想・信条の自由」「表現の自由」などが規定されました。
「スパイ防止法」制定を目指す参政党の方針は、国民主権を守る民主的な運動を「国体」破壊の運動と決めつけ取り締まろうとの狙いをうかがわせるもので、戦前回帰の極めて危険な道です。
「スパイ防止法」を巡っては、国民民主党と日本維新の会も参院選公約で制定を掲げていました。








