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2025年7月24日(木)

主張

25年版「防衛白書」

米言いなりの同盟強化許すな

 防衛省が今月中旬に2025年版「防衛白書」を公表しました。白書は、今年1月に発足したばかりの第2期トランプ米政権の安全保障政策について同省としての分析・評価を避けながら、同政権に付き従って、日米軍事同盟の強化と日本の大軍拡に一層突き進む方向を強くにじませています。

■法外な要求拒否を

 白書は、第2期トランプ政権の「安全保障・国防戦略」について「今後、どのような政策を公表するか注目される」との表現にとどまっています。「現時点で国家安全保障戦略(NSS)、国家防衛戦略(NDS)といった安全保障にかかる政策文書を公表していない」(中谷元防衛相)ためだとされます。

 代わりに白書では、トランプ政権下の「米国の安全保障戦略の見通し」と題したコラムを掲載したと言います。

 同コラムは、防衛省の研究機関・防衛研究所の研究者が執筆し、「トランプ政権が掲げる『力による平和』という政策アプローチは、米国が中国との戦略的競争を優位に進めるため」だとし、「同盟国がより大きな役割を果たすことに対する期待は、トランプ政権内で強くきかれます」と指摘。「このようなトランプ政権の安全保障戦略を踏まえると、わが国をはじめとする同盟国自身の能力強化が不可欠」と強調します。

 コラムの内容について「政府としての公式見解を示すものではありません」との注釈を付けていますが、中谷防衛相は白書公表後の記者会見で「日米同盟の抑止力・対処力の一層の強化を図るための協力を進めていくべく、トランプ政権と緊密に意思疎通をしていく」と表明しています。

 トランプ政権は、日本の軍事費を国内総生産(GDP)の3・5%にすることや、「台湾有事」で米国と中国が軍事衝突した際の日本の役割の明確化を求めているとされます。現在8・7兆円の日本の軍事費を20兆円を超える規模にし、米中戦争への日本の参戦を迫るという、法外かつ危険な要求はきっぱり拒否すべきです。

■平和と安全脅かす

 白書が、今年3月に発足した自衛隊の「統合作戦司令部」を特集も組んで大きく扱っていることも重大です。

 同司令部は、陸・海・空自衛隊の部隊を一元的に指揮し、「(作戦面で)米軍との調整をより緊密に行い、日米共同対処能力を強化することができる」としています。日米の司令部一体化を進め、自衛隊が事実上、米軍の指揮下に置かれる危険を生みます。

 白書はまた、同司令部が「反撃能力を活用した作戦」=長射程ミサイルなどによる敵基地攻撃の作戦を指揮することも明らかにしました。

 「反撃能力」については、日本が攻撃されていないのに、米軍が攻撃を受け、日本の存立が脅かされる事態(存立危機事態)になった場合の行使も否定していません。相手国からは日本による先制攻撃とみなされ、報復攻撃されるのは必至です。

 日本と東アジアの平和と安全を脅かす行為を許してはなりません。外交の力で平和を築く努力こそ必要です。


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