2025年7月24日(木)
新基地 作業船1カ月以上撤退
辺野古・大浦湾 台風で横転警戒 「地盤改良」中断
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沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設をめぐり、埋め立て区域北側の大浦湾に広がる軟弱地盤の「改良」工事を行っている作業船を含め、今月22日時点ですべての作業船が撤退していることが分かりました。
防衛省沖縄防衛局は今年1月29日、砂くいを打ち込んで地盤を固める作業を開始しましたが、6月10日以降、地盤改良を行う作業船がすべて撤退しました。沖縄防衛局は「気象条件を踏まえた措置」だと回答。地盤改良を行う船は船上に巨大なパイプを設置しており(写真)、台風などで横転する危険を警戒した措置だとみられます。
計画では、大浦湾に約7万1千本の砂くいを打ち込むことになっています。地盤改良工事は開始からおおむね4年程度で完了することになっていますが、沖縄防衛局によれば、打設が完了した砂くいは6月現在で2900本にとどまっています。7月はゼロ。今後も気象条件による中断を考慮すれば、砂くいの打設だけで12年以上かかる計算です。
![]() (写真)大浦湾で作業する地盤改良船=4月6日、沖縄県名護市辺野古 |
さらに、大浦湾の「A護岸」と呼ばれる区域では、鋼管を打設する工法(鋼管矢板)を採用していますが、この作業船も撤退。砂くいの作業船と同様、船上に巨大なパイプを設置している構造です。これ以外に、護岸を構成するケーソンの海上ヤードを造成する作業船なども撤退しました。
政府は、辺野古の新基地建設が、市街地のど真ん中にある普天間基地(沖縄県宜野湾市)返還のための「唯一の解決策」との立場を変えていません。しかし、計画通りに進んでも新基地の完成は2030年代半ば。実際はさらに遅れることが確実です。「辺野古が唯一の解決策」との立場に固執すれば、普天間基地の「固定化」につながることは明らかです。
何より、大浦湾の軟弱地盤は最深で海面下90メートルまで広がっており、70メートルまでが限界とされる現在の技術では地盤改良が不可能です。
財政面でも深刻な状況です。現時点で埋め立てに必要な土砂総量のうち、完了したのは15%程度ですが、25年度時点で、政府が想定している新基地建設費の総額9300億円のうち、81%の7543億円を支出する計算です。
何より、辺野古新基地反対を掲げてきた「オール沖縄」の高良沙哉(たから・さちか)氏が参院選で新基地容認の自民党候補に3万3千票以上の差で勝利したことが、沖縄県民の民意を力強く示しました。
技術的にも財政的にも、政治的にも破綻した辺野古新基地建設はただちに中止し、普天間基地の即時閉鎖・無条件撤去に転換すべきです。










