2025年7月23日(水)
関電、新原発調査へ
福島事故後初 将来にわたり活用狙う
福井・美浜町で
関西電力の森望社長は22日、記者会見し、福井県の美浜町に立地する美浜原発で新しい原発の建設に向けた地質調査を開始すると発表しました。2011年3月の東京電力福島第1原発事故の教訓を踏まえず、将来にわたって原発依存を続けようというねらいです。福島原発事故後、原発の新増設へ国内で具体的な動きが明らかになるのは初めて。
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森社長は「国の原子力政策では、第7次エネルギー基本計画で原子力の持続的な活用方針が示された」と述べ、同計画が今回の表明の後押しになった一つだとしました。調査は複数年かけて行うといいます。
森社長は、建設は調査結果のみで判断せず、投資する上での事業環境整備の状況などを総合的に考慮するとしています。「(稼働までに)準備も含めて20年の時間を要するが、できることはしっかりやっていきたい」と述べました。
関電は現在、7基の原発を動かしていますが、うち5基が運転開始から40年を超えます。美浜原発では1、2号機が廃炉を決め、残る3号機は運転開始から48年です。関電は同原発で増設に向けた調査に着手していましたが、福島第1原発事故で中断していました。
一方、政府は老朽原発をさらに酷使する「60年超運転」が可能な制度をつくりました。その上、2月に閣議決定した第7次エネルギー基本計画では、福島第1原発事故後に掲げてきた「可能な限り原発依存度を低減」の表現をやめ、原子力の「最大限活用」や原発の新増設を明記して原発回帰を鮮明にしました。2040年度の電源構成の目標では原発の占める割合を、現在の2倍以上の2割程度に増やすとしています。
原発の費用は膨らみ続けており、政府は原発の新増設を進める仕組みとして、すでに20年間にわたって建設費や運転維持費などを保証する制度を開始。さらに6月には、建設費が上振れた場合も消費者の電気料金を通じて支援する制度をつくろうとしています。
原発をめぐっては、原発から出る使用済み核燃料の行き先の行き詰まり、見通しのめどが立っていない「核のごみ」の最終処分場、事故時の避難計画の実効性など問題は山積みのままです。









