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2025年7月21日(月)

主張

第57回保育合研

子どもが健やかに育つ環境を

 全国から保育士、保護者、研究者など保育に携わる人たちが集まり、多彩なテーマでリポートを持ち寄り、豊かな実践を学びあい、交流して明日へのエネルギーにする全国保育団体合同研究集会(保育合研)が8月2~4日、群馬県内で開かれます。今年のテーマは、「こころをつなごう 手をつなごう あふれる笑顔と平和のために」です。

■増える重篤な事故

 就学前の子どもの保育所などの利用率は54・1%、この10年で18・2ポイント増、0~2歳児の利用率で見ると24・2ポイント増と増え続け、約270万人以上の子どもたちが利用しています。

 保育施設は子どもたちの成長と発達を保障するため、安心・安全な環境が何より求められます。ところが、保育施設などでの重篤な事故が急増しています。政府の統計では2015年の399件から23年は2121件と5・3倍に激増しています。

 事故で重い後遺症を持つ子どもや命を失う子どもがいる事態は深刻です。事故の背景として保育の規制緩和や日本の保育制度の貧弱さが指摘され続けています。子どもたちの命と健康を守れる保育への改善は喫緊の課題です。

 「保育の質」の向上が必要です。そのためには保育士が希望をもって働き続け、専門性を蓄積できる環境が不可欠です。いまは処遇の低さゆえに保育士不足が深刻で、スポットワーク(スキマバイト)で埋めている保育園さえあるのが実態です。保育士の処遇改善と、子ども一人ひとりを大事にできる環境をつくっていくための配置基準の改善が強く求められています。

 終戦後の1948年の制度発足以来、低く抑えられてきた保育士の配置基準が長年の運動で初めて見直され、24年度から保育士1人が担当する子どもの数が4・5歳児では30人から25人に、3歳児では20人から15人になりました。

 しかし世界をみると、3歳以上のクラスで「1クラス15人以下、常時複数の保育者で保育」が常識だと言われています。日本の基準はまだまだ低く、世界水準への改善は待ったなしです。

 この夏も猛暑が襲い子どもたちのお散歩もプール遊びも難しくなっています。それなのに、政府がすすめる規制緩和の流れの中で、ホールや園庭がない園も増えています。

 子どもの減少を理由に、各地で公立保育園の統廃合もすすめられています。いまこそ、子ども1人当たりの面積基準を引き上げ、園内で体を動かして遊べるゆとりある環境をつくっていくことが必要ではないでしょうか。

■実践も制度改善も

 子育ても保育も一人でできるものではありません。保育所を通じて出会う保育士や父母たちは、ともに子どもの成長を喜び合い、手をつなぐ仲間です。語り合い、学び合う関係をつくることがよりよい保育をつくる力となります。保育合研はそのことを実感できる場所です。

 保育実践も保育制度の改善も、どちらも両輪ですすめていくことを何より大切にして積み重ねてきた保育合研。今年も多くの希望を届ける集会となることを期待します。


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