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2025年7月21日(月)

きょうの潮流

 「ホロコーストはガス室から始まったのではなく、はるか以前にヘイトスピーチから始まった」。元国連ジェノサイド防止担当特別顧問の言葉です。ネットでの「○○人は怖い」「日本人ファースト」などの書き込みを思い出します▼5年前、米国で白人の警官が、黒人男性を犯罪者扱いし死亡させました。特定の人種や民族への偏見・差別が、いかに悲劇を招くか。この事件を発端に人種差別に抗議する「ブラック・ライブズ・マター」運動が広がりました▼米国の歴史に刻まれる公民権運動は70年前、人種隔離に反対する「バス・ボイコット」が口火となりました。きっかけは、後に「公民権運動の母」と呼ばれるローザ・パークスが、バス運転手から白人に席を譲るよう強要され、「NO」と告げたこと。「警察に逮捕させる」と脅されても「結構ですよ」と答えたと自伝に▼静かなる抵抗。ローザの逮捕に抗議し、黒人たちはバス乗車を拒否しました。ある人は歩き、ある人は車に分乗し、街のバスは空っぽに▼ボイコットは1年続き、ついに公共交通機関での人権差別は禁止に。運動の中心メンバー・キング牧師の呼びかけで8年後、25万人がワシントンに集結します。「私には夢がある」。ヘイトスピーチが分断を生むならば、キング牧師のスピーチは希望を語り、連帯をつくりました▼1964年、公民権法が制定された後も差別撤廃の運動は今に。公民権運動が切り開いた共感と連帯は、差別と分断に立ち向かう力となっています。


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