2025年7月19日(土)
高額療養費見直し
裏に献金攻勢
厚労相にも維新にも国民にも
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石破自公政権がたくらんでいた高額療養費の負担上限引き上げは、国民の運動と国会の論戦によって、「凍結」に追い込みましたが、石破茂首相は、白紙撤回を明言していません。こうしたなか、高額療養費の負担引き上げの検討を開始した厚生労働省の審議会で「見直しに賛成」と主張した委員が代表を務める政治団体が、福岡資麿厚労相はじめ厚労族議員、自民党の主要派閥、公明党、維新、国民民主党幹部などに幅広く献金していたことが本紙の調べで分かりました。(藤沢忠明)
この政治団体は、健康保険政治連盟(東京・新宿区四谷)。健康保険組合連合会(健保連)の佐野雅宏会長代理が代表者で、政治資金収支報告書の「主たる事務所」も2022年分までは東京・港区南青山の健保連本部ビル内に置いていました。健保連の常務理事には、日本製鉄、日立、トヨタ自動車、川崎重工など大企業の健康保険組合が名前を連ねています。
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経団連の要求
そもそも高額療養費の見直しは、医療費削減を求める経団連など財界のかねてからの要求。石破首相は昨年11月8日、「全世代型社会保障構築本部」の会合で「実現できるものから着実に実施を」とハッパをかけ、約2週間後の同21日、厚労省の社会保障審議会・医療保険部会が検討を開始しました。
同部会の議事録によると、同部会の委員である佐野氏は、厚労省側の「必要な見直しを検討していくべきではないか」との提起を受け真っ先に発言。「保険料負担軽減の観点から見直しの時期に来ていると理解しているので、高額療養費の見直しについては賛成」との意見を表明しています。
負担増「凍結」をめぐり、今秋までに再検討の結果をまとめる場となる4月3日の同部会でも、佐野氏は「高額療養の見直しに限らず医療制度のあり方を含め不断の見直しを」と新たな患者負担増への含みを持たせる発言をしています。
戦闘機半機分
こうした発言をする佐野氏が代表を務める健康保険政治連盟の政治資金収支報告書(21~23年)を調べると、「組織活動費(渉外費)」の名目で政治家や自民党派閥のパーティー券を購入しています。
高額療養費の負担増をやめるのに必要な予算(約100億円)は、F35戦闘機の半機分です。参院選後に再度の引き上げ方針が出てくる可能性があり、参院選で自公、維新、国民など社会保障削減をすすめる勢力に審判を下すことが求められています。










