2025年7月19日(土)
シリーズ 参院選勝利へ 基本政策から
気候危機打開 焦眉の急
35年度 再エネ8割に
世界各地で豪雨、台風、熱波、干ばつ、森林火災、海面上昇などが大問題になっています。日本でも猛暑や豪雨、森林火災が頻発し、農業や水産業にも大きな被害を与え、気候危機の打開はいよいよ待ったなしです。参院選で日本共産党は、自公政権による対策の遅れを抜本的に打開し、気候危機に正面から取り組む政治に、と訴えています。
生活を脅かす異常気象
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近年、熱波などの災害に対し地球温暖化の影響を分析した研究が盛んです。
7月4日に米南部のテキサス州で多数の死者を出した大規模な洪水について、フランスの国立科学研究センターなどの国際研究プロジェクトは、洪水を引き起こした大雨は自然変動だけでは説明ができず、人為的な気候変動(地球温暖化)が主な要因の一つだと発表しました。
プロジェクトの専門家は「この種の出来事は、温暖化している世界ではもはや例外ではない」として、「将来のリスクを抑えるためには、温室効果ガスの排出を削減しなければならない」と述べています。
気象庁と文部科学省が、日本の気温や雨量などの将来予測を報告書『日本の気候変動2025』にまとめています。それによると、追加的な温暖化対策をしないで世界の気温が最も上昇するシナリオの場合、国内の気温上昇が20世紀初めと比べて今世紀末には5・1度増えると予測。熱帯夜は現在の2倍以上の年56・2日に増えるとしています。
極端な気象現象も多くなり、温暖化がなかった産業革命前の状態で「100年に1回しか発生しなかった」高温現象が今世紀末には100年に99回と増え、ほぼ毎年発生(表)。100年に1回のレベルの豪雨も5・3倍に増え、豪雨時の降水量は約32%増加すると予測しています。
投票で重視するテーマ
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最近の世論調査では、気候危機が生活への影響を通じて選挙での投票意識に直結し始めていることを示唆しているといいます。
一般社団法人「ジャパン・クライメート・アライアンス」が4、5月に全国18歳以上の5000人を調査。85・9%が「(個人の生活に)気候変動の悪影響を受けている」、72・3%が「この2~3年で気候変動の悪影響が大きくなっている」と回答(グラフ)。選挙でどんなテーマに関心を持って支持を決めるかの質問(複数回答)では、「景気・物価高対策」が最も高く84%。「エネルギー・環境・気候変動」は71・2%で、「社会保障制度の見直し」(73・9%)、「防災・災害対策」(73・7%)に次ぐ関心の高さでした。
また、気候変動に関心を持ち、「投票する」と回答したのは全体で3人に1人に当たる33・1%でした。
削減目標低い日本政府
気候危機打開のため、なにより必要なことは、温暖化の原因である二酸化炭素(CO2)をはじめとする温室効果ガス排出削減に思い切って取り組むことです。
国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は、気候変動対策の国際的枠組み「パリ協定」が産業革命前と比べて気温上昇を1・5度以内に抑える「1・5度目標」を達成するには、2035年までに排出量を世界全体で2019年比で60%削減する必要があると指摘しています。現在、各国が35年を期限とする排出削減目標を提出することになっています。
ところが、日本政府が今年2月に提出した削減目標は「35年度までに2013年比で60%削減」(19年比で53%削減)。審議会での反対意見を押し切って、経団連が示していた提言と同じ値にしました。国連が求める世界平均より低く、世界で5番目の排出大国にふさわしい責任を果たしていません。
しかも、CO2を最も排出する電源である石炭火力発電について、日本は主要7カ国(G7)で唯一、撤退期限を示していません。国連がG7などに2030年までに段階的に廃止するよう求めてきたにもかかわらずです。自公政権は、削減効果の低いアンモニア混焼技術や、排出されるCO2を回収し地下に貯留するなど高コストの技術でむしろ温存・延命する方針です。
自公政権は削減目標を盛り込んだ地球温暖化計画や第7次エネルギー基本計画などを閣議決定だけで進めています。エネルギー基本計画では、2040年度の電源構成で火力を3割~4割とし、新たな石炭火力の開発までねらっています。
この基本計画では、再生可能エネルギーを「最優先の原則」とする表現がなくなり、東京電力福島第1原発事故後に掲げてきた「原発依存度の低減」の文言を削り、「脱炭素」と称して、原発の「最大限活用」や新規の原発建設を明記しました。これは、有数の地震国・津波国の日本で事故の教訓を忘れ、国民の安全をリスクにさらす無謀そのものの計画です。
参院選では日本維新の会や国民民主党も石炭火力から撤退する方針を示さず、自公政権と同様の技術開発を進めるとしています。原発では早期再稼働や新規原発の開発を掲げています。
参政党は地球温暖化懐疑論に立ち、パリ協定から離脱し、削減目標も撤回すると公約しており、科学的知見や国際合意に背を向け、気候危機打開の対策に逆行しています。新規の原発開発推進を掲げています。
原発・石炭火力ゼロに
気候危機を打開するため、エネルギー政策を原発依存と石炭火力温存から省エネルギー、再エネに転換する必要があります。
日本共産党は2021年に「気候危機を打開する日本共産党の2030戦略」を発表しました。参院選では、その後の事態を踏まえ、自公政権による対策の遅れを抜本的に打開し取り組みを加速させる政策を掲げています。
・温室効果ガスの削減目標では、2035年度までに13年度比75~80%削減(19年度比71~77%削減)をめざします。
・目標などの決め方では、閣議決定だけで行うやり方を根本的に改めます。気候危機打開基本法の制定などで、専門家の英知結集、市民参加を保障し、国会で審議・決定するようにします。
・すみやかに原発ゼロ、石炭火力からの計画的撤退をすすめ、30年度にゼロにします。
・大胆な再エネ導入で、2035年度の電力比率8割とし、40年度までに100%をめざします。










