2025年7月16日(水)
25参院選 目でみる経済
気候危機 各党の違い鮮明
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酷暑のなかの参院選です。気象庁は、6月の全国の平均気温が平年より2度以上も高く、統計開始以来最高だったと発表。今後も厳しい暑さに注意を呼びかけています。
東京都の場合、以前はゼロか1ケタ台だった35度以上の猛暑日が、2010年以降は2ケタ台が常態化。23年には22日を記録しました。地球温暖化の影響とみられます。
経済損失も急増
気候変動は経済にも深刻な打撃を与えています。世界気象機関(WMO)は、干ばつや記録的な豪雨、前例のない熱波、食料生産への影響などの形で気候変動は世界中に巨大な損失を与えていると指摘。1970~2021年に気象災害によって約208万人が亡くなり、4・3兆ドル(約630兆円)の経済損失が生じたとしています。経済損失は時間の経過とともに急増しています。
WMOは、24年の報告では、なにも対策をとらなければ2100年までの被害額は1266兆ドル(約18京円)に上ると警告しています。WMOは、この数字は自然や生物多様性への損失、紛争や移住によって引き起こされる損失を含めていないため、大幅に過小評価されている可能性があるとしています。
日本でも猛暑、豪雨、豪雪、山火事などが頻発し、農業や水産業に深刻な被害を与えています。
気候変動はまさに人類史的課題です。真っ先に取り組むべき対策の一つが、温室効果ガスを大量に排出する火力発電から一刻も早く撤退し、再生可能エネルギーへと転換することです。再エネ普及の障害となっている原発優先政治の見直しが必要です。
ところが、自民党は参院選公約で「火力発電の次世代化・高効率化」を主張。他の化石燃料と比べても温室効果ガスの排出量が多い石炭を、水素やアンモニアと混ぜて焼やす混焼技術の開発を公約に盛り込むなど、火力発電延命に固執しています。原発についても、再稼働や既存の原発敷地内での建て替えを進めるとしています。
公明党は原発の「次世代革新炉の開発・設置」を公約に盛り込む一方、昨年の総選挙公約にあった「可能な限り原発依存度を低減しつつ、将来的に原子力発電に依存しない社会をめざします」との記述を削りました。国民民主党と日本維新の会は、ともに原発再稼働と原発の建て替えを公約に盛り込み、ここでも悪政の補完勢力の立場を鮮明にしています。
立憲民主党は、「2050年までのできる限り早い時期」に化石燃料にも原発にも依存しない社会を目指すとしたものの、総選挙公約の「全ての原子力発電所の速やかな停止と廃炉決定を目指す」との記述から後退しています。
参政党は、地球温暖化懐疑論の立場から「再エネ推進を止める」と主張。火力発電と原発の推進、気候変動対策の国際枠組みであるパリ協定からの離脱を掲げるなど、異様な姿勢を示しています。
省・再エネ強化
日本共産党は参院選公約で「気候危機打開へ―正面から取り組む政治に」と訴えています。省エネと再エネを抜本的に強化して、日本の温室効果ガス排出量を35年度までに13年度比75~80%削減します。「すみやかに原発ゼロ」、石炭火力も計画的に撤退を進め「30年度にゼロ」にします。大胆な再エネ導入で、35年度の電力の再エネ比率を8割とし、40年度までに100%をめざします。再エネ導入の障害となっているメガソーラーや大型風力などのための乱開発をなくす規制も強化します。
(佐久間亮)










