2025年7月16日(水)
統合司令部で同盟強化
防衛白書 敵基地攻撃、サイバーも指揮
中谷元防衛相は15日の閣議で、2025年版防衛白書を報告しました。白書は、自衛隊の実動部隊を一元的に指揮する「統合作戦司令部」が今年3月に発足したことにふれ、米インド太平洋軍司令官との連携を念頭に「日米共同対処能力を強化することが可能になる」と強調しました。
在日米軍司令部も、日米共同作戦や共同訓練などで強い権限を持つ「統合軍司令部」への更新を開始。平時から有事まで日米が司令部レベルで一体化し、事実上、自衛隊が米軍の指揮下に組み込まれる流れを注視する必要があります。
また、白書は統合作戦司令部が指揮する「主な統合作戦」として、(1)島嶼(とうしょ)奪回のための水陸両用作戦(2)(長射程ミサイルなど)反撃能力を活用した作戦(3)ミサイル防衛―を列挙。他国領域への攻撃を行う「反撃能力を活用した作戦」をあげました。「反撃能力」は、違憲の敵基地攻撃能力保有につながるものです。
加えて、サイバー領域の部隊も平時から一元的に指揮するとしています。サイバー攻撃対処を巡っては、通常国会で成立した能動的サイバー防御(ACD)法で、自衛隊が海外のサーバーに侵入し、「無害化」=破壊する権限を付与。国際法上、違法とされる先制攻撃につながる危険が指摘されています。
白書は海上自衛隊の潜水艦修理契約に絡む川崎重工による裏金問題に言及し、不祥事の「再発防止」などを強調しました。ただ、具体策には触れていません。
白書は中国軍の台湾周辺での演習に触れ、「台湾侵攻作戦を含む台湾の統一に向けた軍事作戦の一部が演練(訓練)されている可能性がある」と指摘しました。「台湾有事」をめぐっては、英紙フィナンシャル・タイムズが12日付で、コルビー米国防次官が日本などに対し、米中が軍事衝突した際の役割を明確化するよう伝え、「関与」を求めたと報じています。








