2025年7月13日(日)
消費税減税
大企業の応分負担が焦点
参院選の最大の争点となっている消費税減税。野党がそろって消費税減税を主張しているのに対し、石破茂首相は「社会保障財源」を盾に拒否しています。論戦を通じて、財源は大企業と富裕層に応分の負担を求めるという日本共産党の主張の合理性が明らかになり、税制の見直しが大きな焦点として浮上しています。
党首討論では、日本共産党の田村智子委員長が「大企業への応分の負担という議論がスルーされている」「大企業には、今以上に税金を負担する力があるのではないか」(6日、ニコニコ動画)と迫ると、石破首相も「負担する能力がある人には法人であれ、自然人であれ、負担をお願いする」と言わざるをえなくなりました。
財源論をめぐっては、税収の上振れ分を使うほか、国債発行に依存するなどの主張もありますが、いずれも合理性への疑問が広がり、論戦が進むにつれてまともに語れなくなっています。医療費などの社会保障の大幅削減を打ち出す主張にも、共感は集まっていません。
日本共産党の財源論の合理性はすでに明白です。日本共産党の志位和夫議長は「一連の論戦で、日本共産党の財源提案を政府も否定できなくなった。つまり減税を拒否する『論拠』が崩壊した」(11日)と訴えました。
こうしたなか、地方紙では消費税減税の財源として、日本共産党が主張してきた税制のゆがみに切り込むよう求める論調も生まれています。
沖縄タイムスは「税の不公平も放置されてきた。ここ10年余で消費税が2度引き上げられた半面、法人税は減税。それなのに期待ほど投資や賃金は増えず、企業の内部留保と株主還元へ回っている」(6日付社説)として、中長期的な視野で物価高に負けない社会と強い経済をつくる論戦を求めます。
宮崎日日新聞も、税の不公平を指摘したうえで、野党に対し、「消費税を減税するならほかの増税などと組み合わせ、財政規律の維持と税制のゆがみ是正につながる案を示すべきだ」(8日付社説)と注文をつけました。
一方、北海道新聞は「税収は3割を消費税に頼っている。財界の総本山、経団連ですら昨年末、社会保障財源にまず富裕層の所得税負担を拡充する提言をまとめた」(10日付社説)と指摘。「消費税だけでなく『富の再配分』を進める議論が大切である」としました。
昨年の総選挙以降の国会論戦で、消費税の5%への減税を大企業と富裕層の応分の負担で実現するよう迫り、政府を追い詰めてきたのは日本共産党です。国民本位で暮らしと社会保障を守る議論を進めるためには、日本共産党の躍進がどうしても必要です。
優遇税制の是正こそ
下関市立大学教授(経済学) 関野秀明さん
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日本の「家計最終消費支出」が安倍政権の2度の消費税増税により、増税前の2013年の平均247・6兆円水準をいまだ回復できていません。一方、10年以降、法人実効税率が45%程度から30%を切る水準まで急速に引き下げられてきました。消費税増税の一方で、大企業・富裕層減税を行うことは、多くの市民・国民の豊かさにつながっていません。だから、消費税減税の財源は、行き過ぎた大企業・富裕層減税を見直すことに求めるべきです。
国民の生活の困難の一方で行われた大企業・富裕層減税には、経済効果もみられません。
工場や生産設備などの大企業・設備投資の「有形固定資産」がほぼ200兆円規模で変わっていません。一方、株式や債券での運用「投資向け資産」が350兆円超えで激増しています。さらに、1998年度と比べると、年収3000万円以上の人の所得税・住民税の税率が15%減税、年収4000万円以上の人で10%減税となっています。
法人税を安倍政権前の税率に戻し、大企業・富裕層の優遇税制を是正すれば、消費税率5%減税の財源をおおよそまかなえます。
一方、財源を赤字国債に求めることは大変危険です。5月のインフレ率は日本3・5%、米国2・4%、欧州2・0%程度で、日本は最もインフレ率の高い国になりつつあります。政府債務は1400兆円を超え、長期金利が2021年の0%から1・5%まで急騰しています。
赤字国債に依存し、減税や給付を行うと、インフレ率の上昇、金利の上昇を招き、市民・国民生活を苦しめることになります。









