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2025年7月13日(日)

きょうの潮流

 「GoToトラベルで医療費削減」。参政党の選挙ビラの一文に目が止まりました。はて、どういう意味だろう▼説明文はこういいます。「健康で医療費削減に協力した高齢者には国内旅行券を配布し、予防医療への取り組みと国内旅行支援を組み合わせた政策を提案します」と。対象者は高齢者だけのようです▼あれ、これって映画「PLAN75」と似ていないか。3年前に公開された早川千絵監督の衝撃作です。舞台は近未来の日本。そこでは超高齢化問題の解決策として、75歳になったら自分の生死を選べる制度が導入されています▼倍賞千恵子さん演じる78歳のミチは夫に先立たれ、1人暮らしです。ある日、高齢を理由に仕事を解雇され、住む場所も失いそうになります。〈プラン75〉の申請を検討し始めるミチ。自ら死を選ぶと、国から受け取れるのが10万円の支度金です。「旅行とか、おいしいものを食べるとか好きに使ってください」と担当者▼一方の参政党。「終末期延命措置は全額自己負担」を公約にします。「過度な延命治療に高額医療費をかけることは国全体の医療費を押し上げる」。延命措置は原則行わないとし、尊厳死法制の整備を訴えています。映画との一致に気づいた時、背筋が冷たくなりました▼早川監督は「こんな未来は迎えたくないという思いが、この映画を作る原動力」と、人の命を生産性で語ることに異議を唱えます。自己責任、不寛容、差別。その先に何が待っているか。目をこらして見つめる時です。


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