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2025年7月12日(土)

参院沖縄選挙区候補 自民奥間氏

那覇市議時代 贈賄側利する質問

那覇市有地所有権巡り

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 那覇市有地の所有権争いを巡り、市議会工作の見返りに不動産会社の元代表らから現金5千万円を受け取ったとして、久高友弘前議長(自民党公認で当選)が逮捕(2023年12月に起訴)された贈収賄事件は、沖縄政界に大きな衝撃をもたらしました。参院沖縄選挙区(改選数1)に自民党公認で立候補している奥間亮氏は市議時代、贈収賄の被告側を有利にする立場で所有権問題の議会質問を行った一人です。

 事件の発端は、民間人女性A氏が市上下水道局の敷地などの所有権を主張し、2003年に那覇市を相手取って提訴したことにさかのぼります。総面積は東京ドーム約3分の1に相当しますが、一部の土地については06年に最高裁が那覇市の所有を認定。A氏の敗訴が確定しています。

議会工作を依頼

 一方、A氏側から陳情を受けた久高被告は、市議会本会議の代表質問などで繰り返し市当局を追及。そして、議長就任後の20年12月から21年2月、不動産会社の元代表らから計5千万円を議長室で受け取ったとされます。久高被告に賄賂を渡した贈賄側は、所有権移転が実現すれば土地の転売で100億円以上の利益を見込み、議会工作を依頼したといいます。

 久高被告が2度目の金銭授受で4500万円を受け取ったのは21年2月8日。その9日後の市議会本会議で自民党の代表質問に立ったのが奥間氏でした。議長であるため質問できない久高被告に代わり所有権問題を追及したのです。

 議会会議録によると奥間氏は、「(所有権を主張するA氏に対しての)重大な権利侵害が起きているという疑義が生じている」と指摘。事実上、A氏の側に立った主張を展開しました。

 疑惑をさらに深める証言があります。「(久高被告が)『議会で追及してもらう見返りとして市議3人に百万円単位の現金を渡した』と実名を挙げて証言した」(「沖縄タイムス」23年10月14日付)

 同記事によれば3市議はいずれも現金の受け取りを全面否定し、のちに久高被告自身も証言そのものの否定に転じました。しかし、久高被告が5千万円を受領後、奥間氏のほか山川典二、屋良栄作両市議(2人とも今月13日告示の那覇市議選に立候補予定)の3人が所有権問題を巡り、代表質問などで少なくともA氏の側に立った追及をしているのは揺るがぬ事実です。

 また、贈賄罪に問われた1人、会社役員のB被告=東京都=が有罪を言い渡された那覇地裁判決(24年4月10日)では、久高被告の当初の証言を一定裏付けるような事実認定がされています。判決要旨によると、B被告らは久高被告らに対し、A氏が有利となる質問を行うよう他の市議に働きかけるなどの便宜を図ることを期待して賄賂を渡したとしています。

贈収賄に関与か

 これらの事実から浮かび上がるものは―。久高被告から働きかけられた奥間、山川、屋良の3氏が、所有権問題でA氏が有利となる質問を行い、贈収賄事件に事実上関与したのではないかという疑いです。

 ところが奥間氏は、琉球新報が参院選公示前に開いた候補者座談会で、県民から寄せられた質問に次のように回答。「(贈収賄事件について)1ミリも、関わったことも見聞きしたこともない」(同紙6月29日付)と強弁しました。

 本紙は、奥間氏の事務所に贈収賄事件への関与を一切否定する根拠について質問しましたが、回答はありませんでした。

 他方、奥間氏は21年8月に久高被告が代表を務めていた自民党那覇市支部から16万円の寄付を受け取っています。


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